「マスクでは会話できない」水戸の聾学校、フェイスシールドやオンライン手話で子どもに寄り添う

松村真一郎 (2020年6月11日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 新型コロナウイルスを巡り、茨城県内の公立学校で通常授業がスタートする一方、障害がある児童生徒らが登校する特別支援学校でも、22日からの再開に向けた準備が進む。特別支援学校では、子どもたちに寄り添った教育活動がより必要なことから、教職員との距離が普段から近く「密」になることが多いため、感染防止に工夫を凝らしている。
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口元が見えるオリジナルマスクで授業をする教員(左)=いずれも水戸市の県立水戸聾学校で

茨城県内各地から80人 22日に通常登校再開

 聴覚に障害がある子どもたちが通う水戸市の茨城県立水戸聾(ろう)学校では、幼児から高等部までの80人が通う。3月上旬から休校していたが、5月25日から、3つのグループごとに週1回、午前中のみ登校する分散登校を開始。徐々に登校日を増やして、6月22日から通常登校を再開する。

 この学校は、茨城県内で唯一の高等部があり、県内各地から子どもたちを受け入れている。遠方に自宅がある生徒のために、敷地内には寄宿舎も設置されている。新型コロナの感染防止のために、休校に合わせて閉鎖しているが、こちらも22日から再開する。

校長「障害者の生活のしづらさが浮き彫りに」

 聴覚障害者は、手話のほかに相手の口の動きも、会話を把握する情報源にすることから、奥岡智博校長は「マスクをしていると、相手の言っていることが分からないなど、今回の感染拡大で障害者の生活のしづらさが一層浮き彫りになった」と語る。

 感染予防をしながら、生徒らに授業内容を伝えるために、教員たちは、顔全体を透明のシートで覆い、飛沫(ひまつ)感染を防ぐ「フェイスシールド」を着用しながら授業に臨む。そのほか、口元の部分に透明のビニールを貼り付け、口の動きが分かるようにしたオリジナルのマスクを作製した教員もおり、生徒らに寄り添った工夫を凝らしている。

 また、寄宿舎が閉鎖されていることから、遠方の自宅から登校日に通うことができない生徒のために、高等部ではオンライン授業も取り入れ、自宅にいても授業が受けられるようにしている。

高等部の新入生歓迎会、7人を除きオンライン

 5日は、高等部で新入生歓迎会があった。例年は、教室に1〜3年生全員が集まるが、この日は分散登校のために、1年生6人と専攻科1人の計7人しか登校しておらず、残りの2、3年生はオンラインで参加した。

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オンラインで開催された新入生歓迎会

 全員が画面越しに自己紹介をし、「学校が再開したら、皆さんと会えるのを楽しみにしている」「早く落ち着いて、毎日学校に行けるようになってほしい」などと手話で語り合った。

 奥岡校長は「マスク着用や寄宿舎を毎日消毒するなど、しっかりと対策をして再開したい」と話した。

はり・きゅう実習ある盲学校、洗濯や消毒徹底

 一方、視覚障害者が通う県立盲学校(水戸市)では、はり・きゅうの実習でマスクを着用し、使用したタオルや用具を毎回洗濯する予定。生徒らが教員の腕や肩を持って進む手引きも、移動前後の手洗いを徹底する。

 御子柴和之教頭は「人の体に触れないわけにはいかない場合もあるので、きちんと消毒をするなど対策をしていきたい」と語った。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年6月11日

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