塾に通えない中高生を学習支援 大学生が「かわさき芽吹塾」 経済的事情のある子のため無料で

安田栄治 ( 2021年10月10日付 東京新聞朝刊)
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かわさき芽吹塾の吉沢代表(後列中央)ら講師を務める現役大学生たち(かわさき芽吹塾提供)

 新型コロナウイルスの影響や家庭の経済的な事情などで塾に通うことができない中・高校生たちを学習支援する「無料塾」が川崎市高津区内で今年5月から開かれている。講師は全員が現役大学生。教師を目指す学生や、ボランティア活動に興味がある学生らが、自らも成長したいと集まった。塾の代表者は「年齢が近い僕たちだから子どもたちの苦労も分かることは多い」と受講生に寄り添う支援を目指している。

5月スタート 毎週土曜夜、高津市民館で

 発起人で代表を務めるのは中央大学2年の吉沢春陽(はるひ)さん(20)=横浜市都筑区。志望大学合格は、受験の直前まで予備校に通えたおかげと考えてきた。さらに、1年の時はコロナのため1度も大学に行けず「オンライン授業ばかりで大学に通っている感覚はない。こういう状況で勉強に打ち込めるかなと不安になった」。

 こうした自身の体験から「受験生もコロナ禍で苦しんでいるだろう」と支援を思い付いた。昨年11月から行動を開始。都内の無料塾を見学して運営方法を学び、アルバイトで資金を稼ぎ、高校の同級生に声をかけて「かわさき芽吹塾」を立ち上げた。

 毎週土曜日午後5時50分から同8時40分まで。15人の大学生が文系と理系に分かれて交代で講師を務め、現在は中学生8人に1対1の個別指導を行っている。

 会場には、高津市民館の50人収容できる大きめの会議室を有料で借り、密にならないように工夫している。

「誰かの助けを借りると、学力は伸びる」

 経済的な事情に苦しむ受験生を支えたい思いも強い。「1人で勉強するより誰かの助けを借りると学力は伸びる。塾に行けるか行けないかで結果も変わる」。きょうだい2人が私学の高校に通い「これ以上親に負担をかけられない」と芽吹塾の門をくぐった中学生もいるという。吉沢さんは「芽吹塾は受講生のためだけではなく、学生自身のスキルアップにもつながる。みんなの夢が芽吹いてほしい」と言葉を弾ませる。

 受講は中・高校生が対象で他の塾(家庭教師も含む)に通っていないことが条件。講師の交通費は自己負担しているが、会場の室料や参考書、文具類に充てる寄付を募っている。受講申し込みや問い合わせは、かわさき芽吹塾ホームページで受け付けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年10月10日

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