桃太郎は嫁取り話!? 桃から生まれない地方も 各地の115話を分析した中学生が文部科学大臣賞 5月に書籍化
【関連記事 倉持よつばさんは小学6年生の時に…】「桃太郎は盗人。鬼は悪くない」 200冊読み比べた小6が本を出版 椎名誠さんも絶賛
実はバリエーション豊富 怠け者もいた
全国各地で伝わる桃太郎の話にはバリエーションがあり、生まれ方一つ取っても、巾着やたんすに入った桃から生まれた桃太郎もいれば、桃を食べて若返ったおじいさんとおばあさんの子という設定もある。
普通の桃太郎は鬼ケ島で鬼を退治し、宝物を持ち帰る。しかし、中には、宝ではなく、お姫様を連れ帰る桃太郎もいることに倉持さんは興味を持った。袖ケ浦市の中央図書館の司書に依頼し、国立国会図書館や他県の図書館に所蔵される桃太郎の本を取り寄せるなどして115話を調べてみると、妻を求めて結婚するケースが3話あった。
倉持さんは「昔話は口伝えで伝わったため、地域によっていろいろな話になった」「子どもに聞かせる話になってからその部分(求婚)は削除され、鬼から財宝を取り返す結末になった」などと推論。A4判50ページにまとめた「嫁取り噺(ばなし)『桃太郎』~全国の伝承昔話『桃太郎』を読み比べる~」を完成させた。出版社も倉持さんの研究に注目し、5月上旬にも本の形で新日本出版社から刊行されるという。
他にも興味深かったのは、東北地方では力持ち、中国四国地方では怠け者で寝てばかりの桃太郎がいたこと。「その地域にもともとあった英雄型の話などと、桃太郎の話が結びついたのでは」と倉持さんはみている。
わかったこと
-
- 東北地方は箱や、戸棚から生まれるものが多い
- 中国地方では桃や、もとから生まれているものが多い
- 婆(ばば)が若返って桃太郎が生まれたのは香川県と埼玉県しかない
- 近畿地方と九州地方はお話が少ない
- 新潟県にはキジの卵から生まれる雉(きじ)の子太郎がいた
- 桃ではなく、人形が流れてきたり、捨ててあった子どもを拾ったり、桃が全く関係ない話もあった
- 柿の種を植える話もあり、カニのあだ討ち型の話だった
受賞は2回目 小学生で「鬼の正体」考察
実は、倉持さんが桃太郎で同賞を受賞するのは、これで2回目。小学5年生の時は「桃太郎は盗人なのか?~『桃太郎』から考える鬼の正体~」のテーマで考察。鬼はそれほど悪ではなかったという結論を導いたこの研究も、2019年に本となって出版された。
倉持さんは「2度も素晴らしい賞をいただいた。次のテーマは決まっていないが、今後も調べ学習を続けていきたい」と話している。
コメント