千葉県は学校給食「机を向かい合わせ」でOKに 黙食が条件、パーティションも不要 熊谷知事「子どもの思い出を奪わないよう」
中谷秀樹 (2022年4月15日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
学校の新型コロナウイルス対策を巡り、千葉県の熊谷俊人知事は14日の定例会見で、県内の小中高校で制限緩和を図ると発表した。大きな変更点は給食。これまで飛沫(ひまつ)感染防止のため教室内で一方向を向き食事するよう求めてきたが、黙食を条件に机を向かい合わせにすることを認める。「子どもたちの大切な思い出となる学校行事や学習機会を奪わないよう、多様な教育活動の実現に一歩踏み出してほしい」と現場に呼び掛けた。
「制限で児童生徒に悪影響」と現場の声
熊谷知事は「コロナによる制限で、児童生徒にストレスや運動不足による心身の不調、マスクの常時着用で(表情が見えず)コミュニケーション阻害などの影響が出てきているとの声が現場から聞こえる」と指摘。3年目に突入したコロナ禍に対し、人々の考え方が変化しているとし、「一律に制限を掛けず、必要な感染症対策の徹底は継続した上で段階的に制限を緩和する」と説明した。
千葉県教育庁の担当者は「1学級が20人に満たなくても、(教室に余裕があるにもかかわらず)一方向を向いて給食を食べる小規模校もある。状況を考慮しつつ変えていくことが可能だ」と話す。パーティションについても「黙食を徹底するのであれば設けなくてもよい」としている。
行事や部活動も緩和 運動会は全校開催
給食のほか、校外・グループ学習や実技、修学旅行、部活動は通常通り実施するとし、小学生の外遊びも推奨。間もなくシーズンを迎える運動会については、学年別や午前と午後に分散開催などの対応が取られていたが、全校一斉開催も視野に入れ、多様な種目の実施を認める。
これらは既に緩和している学校もある一方、感染リスクの観点から保護者などの間で賛否両論が渦巻き、判断の重圧を負う校長が躊躇(ちゅうちょ)している実態もあった。
熊谷知事は「学校や教員は極めて真面目で、組織として不満を挙げづらい上、子どもに関することは実態以上にリスクが高く捉えられがち。行政が一歩踏み込んでメッセージを出す後押しが必要」と強調した。