「小1の息子が授業で緊張して話せない」の悩み 専門家が対処法を解説 緘黙(かんもく)の可能性も〈子育て相談 すくすくねっと〉
小1の息子に自信を持たせたい
小1の息子は自信がなく、自己主張が苦手です。授業での発表は、緊張して固まり、答えられません。体育は一人ずつ披露する時に動かなくなります。ピアニカを吹いた感想を書く時はどう書けばよいか分からず、白紙で出しました。どうしたら自信を持たせてあげられるでしょうか。(愛知県、34歳)
まず、変えられない部分を見極めて
緊張しがちな子どもとどう向き合えばいいのか。公認心理師の佐藤めぐみさん(53)は「まず変えられない部分を見極めてほしい」と話す。幼少時の引っ込み思案や恥ずかしがりは、生まれ持った気質の場合が多い。無理に変えようとすると個性を失わせる可能性もあり、親も疲弊するという。
例えば「ママは小1の時にできていたよ」と自分の経験を言い聞かせるのは避けたい。発表が嫌だ、大勢の前が怖いという子どもの感情に向き合っておらず、心のシャッターを閉ざされかねない。佐藤さんは「この子にはこう見えていると、まず視線を同じにして接するのがスタート地点になる」と説明する。
具体的な対策としては、できることからやってみることが効果的だという。授業中は無理でも、両親の前、あるいは仲のいい友達数人の前でなら発表できるかもしれない。「100点を求めず、目標につながる行動にチャレンジ」させたい。疑似体験を繰り返して慣れれば、少しずつ目標に近づける。
褒めポイントを見つけ、言葉で肯定
「褒めポイントを見つける」のもいい。学校に行けた、挙手できたなど、目標の手前にある行動を拾い「みんなの前に立ててえらかったね」などと言葉で肯定する。「あまり急がず小さなステップを繰り返すと自信につながる」とも。うまくできずに落ち込んでいる時は「悲しかったのかな」などと、子どもの感情を言葉にして受け止めるのがいいという。
日常の会話にも注意したい。佐藤さんは「家庭で悲観的な物言いをしないで」と呼びかける。子どもは両親などの言葉から考え方を吸収すると言われる。失敗した時に「最悪」「いつもこうだ」などと口にすると、ネガティブな考え方になりやすい。「今回はうまくいかなかった」と失敗を単発の出来事ととらえると、「次はきっとうまくいく」といった発想が生まれやすくなる。
「場面かん黙」などは早期の支援を
決まった場所で長い間話せない場合は「場面緘黙(かんもく)」の疑いもある。家などでは普通に話せるのに、学校など特定の状況で1カ月以上話せない状態が続く症状。当事者の保護者や支援者などが運営する「かんもくネット」の角田圭子代表(60)は「おとなしいだけ、と軽く考えて問題視されないことも多いが、支援を受けないまま傷つく経験をすると、不安が高まり不登校になりかねない。早めの理解と支援が必要」と訴える。
学校で話せないことが続く場合は、担任の先生やスクールカウンセラーに相談したい。場面かん黙は自閉スペクトラム症などの症状と複合的に現れることも多く、角田さんは「小児科など医療機関の利用も検討するといい」と勧める。
先生に話せたら「よく言えたね」
岐阜県可児市の女性(35)は、「自己肯定感を高めてあげると自信になり、継続して自己主張できるようになりますよ」と提案する。小2の息子がいて、学校で困った場合には先生に相談するよう促しているという。
例えば忘れ物をした、給食のふりかけの袋が開けられないといった場合。先生に伝えられるたびに「よく言えたね」と褒める。息子は挙手や発言がよくできると評価されているといい「担任の先生への自己主張から始めてみては」と話す。
発表の順番を変えて心の準備を
名古屋市千種区の女性(43)も担任への相談を勧める。娘は友達と遊ぶときは活発だが、人前での話や注目されるのは苦手。小学校低学年の時には級友の前での1分間のスピーチがあり、自分に当たりそうな日には腹痛を起こしていた。
特に、休む人がいると順番が早まるのではという不安が強く、担任に相談した結果、担当の日を事前に決めてもらえるように。心の準備ができると、メモを見るなどしながらスピーチができるようになった。名前の50音順で1番になることが多かったが、相談してからは「最初に当てられなくなった」と振り返る。
「せかす、責める」は逆効果に
「本人が悩んでいないのならば個性と受け止め、ありのままを受け入れては」との声も。愛知県碧南市の女性(49)の息子は幼い頃、注目が集まると言葉が出なかった。「せかしてしまうことがあり、ストレスになったのかチック症状が出てしまった」と女性。ただ次第に人前でも話せるようになったといい「責められると余計に萎縮する。得意な分野で、いずれ自信が持てるようになる」と励ます。
愛知県岡崎市の女性(65)は「まず学校は楽しいところだと教えて、学校で話せるように家庭での会話を多くしては」と勧める。たくさん話をする中で学校の様子や出来事を聞いてあげれば「経験から少しずつ自信がつく」とエールを送った。
【編集チームから】質問は9月3日に公開していたものです。11月12日に回答を掲載しました。
食べるのが遅い年長の娘 夕食に2時間、給食も食べ終わらず…
年長の娘は食べるのが遅いです。どろどろになるまでのみ込まず、夕食に2時間かかることも。給食は量を減らしても時間内に終わりません。軟らかいお菓子なら次々に食べますが、食事に執着心がないよう。小学校では給食の時間が短くなり量も増えるので心配です。(名古屋市緑区・46歳)
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