小学校入学の前にひらがなを覚えてほしいのに「教わること」が嫌いで…〈古泉智浩さんの子育て日記〉46
公文に通い始めたぽんこちゃん
保育園年長のぽんこちゃんは、お絵描きや工作が上手で、そんな感覚で文字を書き連ねて「おてがみかいたよ」と手紙を渡してくれます。そこには知っている文字が適当に書き並べられています。「なんて書いてあるの?」「パパいつもありがとうってかいたよ」
気持ちはありがたいのですが、そろそろ字を覚えてほしい。小学校に入ったらみっちり習うのは分かっていますが、もし最初につまずいて苦手意識が生じて勉強や学校が嫌いになってしまったら大変です。ある程度身につけた状態で入学して、余裕をもって授業に臨んでほしいです。
ところがぽんこちゃんは、普段威張っている分、何か教わることがプライドを傷つけられるとでも感じているようで、すごく嫌いです。そこで公文に通うことにしました。小3のお兄ちゃんも繰り下がりのある引き算を筆算で解こうとせず苦しんでいたので一緒に通うことにしました。公文では筆算をしないで、暗算で解くトレーニングをするとのことで、そもそも筆算が嫌いなうーちゃんにはぴったりです。
ぽんこちゃんは果たして公文でお勉強ができるのでしょうか。なんと、公文の先生の言うことは素直に聞いていました。一安心なのですが、なぜ親が言っても聞いてくれないのか、少々腹立たしくもあります。
公文は教室での勉強も大事ですが、それ以上に宿題が重要です。それが問題で、宿題をみてやるのは僕らなので、宿題を始めるとすぐにテーブルを蹴って椅子をぐるぐる回します。宿題は紙に犬の絵と「いぬ」と書かれた文字、といった図が3点並んでいて、裏をめくると、文字だけが3点並んでいます。絵と文字を見て、声に出して「いぬ、ねこ、かえる」と読み上げます。次に紙を裏返して文字だけのものを「いぬ、ねこ、かえる」と声に出して読みます。そうしてだんだんと音と文字を印象付けていくようです。1回分の宿題で10数枚あります。
やっているとだんだん声が小さくなります。顔を伏せて横目で見たりなど、あんまりやる気がない時は、無理強いして嫌いになられても困るので中断します。そうしているうちに宿題はやったりやらなかったりで、とうとう先生に言われてしまいました。「このままでは入学に間に合いません」
古泉智浩(こいずみ・ともひろ)
漫画家。養子の9歳男児うーちゃんと、5歳女児ぽんこちゃんを育てる。