傷心のぽんこちゃん「今年はもう海には絶対行かない」〈古泉智浩さんの子育て日記〉45

(2023年8月16日付 東京新聞朝刊)
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海水浴する子どもたちを波打ち際から見つめるぽんこちゃん

古泉智浩さんの子育て日記

お金も時間も 海は素晴らしいレジャー

 5歳のぽんこちゃんは、リビングで毎晩のように「『だるまさんが転んだ』をしよう」と誘ってくれます。普通にやるならまだ良いのですが、「だるまさんが~」の後、「転んだ!」と言い始めると同時に勢いよく振り返るので、動いている僕を簡単に見つけて喜びます。これが何度も何度もエンドレスで続きます。

 小3のうーちゃんは「マインクラフト」というゲームにハマっていて、毎日のようにゲーム機でやっています。画面の中では、地面を掘ってブロックを積み上げて家を造ったり、羊毛を入手してベッドを作ったり。楽しそうに説明してくれますが、敵を倒す、謎を解くといった明確な目標が見えないし、何が面白いのかさっぱり分かりません。

 夏なので、2人を近くの海に誘いました。酷暑でも水辺はいくらか涼しく、海に入れば水がひんやりして気持ちがいいです。しかも、海はガソリン代とかき氷代くらいの出費しかかかりません。準備と移動で片道1時間、海でのんびりと過ごし、飽きたらかき氷を食べて帰れば、確実に3時間はつぶれます。その上、帰宅してシャワーをすれば、その日のお風呂はもう終わり。素晴らしいレジャーです。

 ところが、うーちゃんは「海は水が汚い」と断るので、ぽんこちゃんと2人で行きました。その日は波が少し高くてぽんこちゃんはなかなか海に入ろうとせず、砂を掘って遊んでいました。せっかく来たのに浮輪も使わずに帰るのはもったいないと、手をつないで海へと誘いました。少し奥に入れば波はそれほど強くなく、浮輪でぷかぷか浮かべば気持ちがいいはずです。

 波打ち際に立ったぽんこちゃんは、何を思ったのか急にしゃがみました。すると、それまでで1番高い波が頭上にのしかかり、ぽんこちゃんは後方にでんぐり返ししながら砂浜まで押し返されました。あまりのことに泣き出してしまい、かき氷を買って何とかなだめ、帰宅しました。

 1週間後も海に誘うと「溺れるから行かない」といったん断られましたが、「海に行ってかき氷を食べよう」と水を向けると一緒に行ってくれました。かき氷を買い、砂浜の階段で食べようと歩き始めたぽんこちゃん。ところが、途中で転んで全部ぶちまけ、膝も擦りむき、泣いてしまいました。「今年はもう海には絶対行かない」と言っています。この夏の間に機嫌は直るでしょうか。

古泉智浩(こいずみ・ともひろ)

 漫画家。養子の9歳男児うーちゃんと、5歳女児ぽんこちゃんを育てる。

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