<わたしの糧ことば・特別編>3姉妹の母・漫画家 高野優さん

(2017年7月20日付 東京新聞朝刊)

イラストは高野優さん

いつかは笑い話。

 子どもが乳幼児期で大変だったとき、いつも自分に言い聞かせていた言葉です。当時は、娘3人の成長や子育ての悩みをカレンダーや手帳にメモしていました。「授乳後にゲップが出ない」と、毎日書いてある時期もありました。実際は、1年後には笑い話になり、温かい思い出に変わっていました。

 私の場合、困ったことも「漫画のネタになる」と面白がれたのもよかった。大体のことは何とかなります。ユーモアをもって子育てをやり抜きましょう。

 今、娘たちが大きくなり、朝の8時に学校へ送り出したら、次に会うのは14時間後。夜の10時です。あんなに欲しかった自分1人の時間ですが、案外ダイヤモンドのような輝きはない。お風呂でギャーギャー、食事でバタバタしていたころが、母親としては一番かっこいい時期だったんじゃないかな。

たかの・ゆう

 北海道出身。第1、第3金曜に東京新聞朝刊に「思春期ブギ」を連載中。主な著書に「よっつめの約束」(主婦の友社)、「高野優の思春期ブギ」(ジャパンマシニスト社)など。

 

糧ことば

 人生の先輩などから言われて救われた子育てに関する言葉。共有することで、独りぼっちで悩みがちなママたちの心を少しでも軽くしたい-との願いを込め、広告会社・博報堂の「リーママプロジェクト」のメンバーが名付けた。東京新聞では2016年9月から2年間、読者から寄せられた「わたしの糧ことば」を連載。著名人による特別編も5回掲載した。