<わたしの糧ことば・特別編>2児の母・コラムニスト 伊是名夏子さん
(2017年7月20日付 東京新聞朝刊)
この子は、この子で大丈夫
35年前、私の両親が信頼できる医師にかけてもらった言葉です。私は、生まれつき骨が折れやすい骨形成不全症という障害で、診断が付くまで「1週間の命」とも言われたそうです。でも、この言葉で安心できた両親は私を過保護にはせず、可能な限り姉たちと同じように育ててくれました。
私が妊娠、出産するまでには、病院で診察を拒否されたこともありました。パートナーや、「諦めなくていいわよ」と言ってくれる先生に出会い、2人の子を無事、出産できました。
毎日の子育ては、常に誰かの手を借りないと回らないんです。子どもが泣いても抱っこできないし、何かこぼしてもさっと拭けない。できたら楽だろうなあ。10人のヘルパーさんが日替わりで来てくれて、一緒にやります。不安になることもあるけれど、私も両親のように子どもたちの力と存在を信じて育てています。
いぜな・なつこ
沖縄県出身。骨の折れやすい障害で電動車椅子を使って生活する。東京新聞の隔週日曜朝刊に「障害者は四つ葉のクローバー」を連載中。
糧ことば
人生の先輩などから言われて救われた子育てに関する言葉。共有することで、独りぼっちで悩みがちなママたちの心を少しでも軽くしたい-との願いを込め、広告会社・博報堂の「リーママプロジェクト」のメンバーが名付けた。東京新聞では2016年9月から2年間、読者から寄せられた「わたしの糧ことば」を連載。著名人による特別編も5回掲載した。