パパ記者通信(12)一人で読むことのなかった娘が「仕掛け絵本」には夢中

佐野周平 (2017年8月15日付 中日新聞朝刊)

 娘はまだ字を読めず、絵本を一人で読むことがほとんどない。大人に読んでもらうものというイメージだったはず。そんな娘が、こちらが手を貸そうとすると嫌がるほど絵本の世界に引き込まれていた。

 静岡県藤枝市郷土博物館で開催中の「とびだす絵本ワールド展」(9月3日まで)。本を開くと立体的な絵が飛び出したりする「仕掛け絵本」が並ぶ。仕掛け絵本は手が込んでいるだけに高価で、興味こそあったが縁遠い存在だった。

どんな絵が飛び出すか-。想像力が刺激される仕掛け絵本

 展示は200点近くあり、絵が動いたり音が鳴ったりと趣向はさまざま。娘が好きなディズニー映画の仕掛け絵本も数冊あり、娘は気に入った本があると、真剣な表情で見入っていた。学芸員の新妻幸さん(26)は「平面的な絵本に慣れているだけに、新鮮な驚きがあるはず。どんな仕掛けが飛び出すかと、想像力を刺激されるでしょう」と話す。

 腰をかがめて娘の目線の高さで読んでみると、見上げる高さに仕掛けが飛び出してくるように見えた。絵本からあふれんばかりの仕掛けは、子どもにとって迫力満点だろう。大きく口を開けたお化けに、娘が怖がって逃げる場面もあった。

 仕掛け絵本は大人の人気も高く、大人だけで来場しているグループも目立った。「切って貼るという単純な作業だが、緻密な計算があるんですよ」と新妻さん。気付けば、娘と一緒になって夢中でページをめくっていた。