眠っている本を保育園に橋渡し 川崎の「ビブリオポルトス」

大平樹 (2018年8月17日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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自転車で寄贈される絵本を受け取って回る小松さん

 各家庭に眠っている絵本を集めて神奈川県川崎市内の保育園に贈ろうと、読書の啓発に取り組む同市中原区の一般社団法人「ビブリオポルトス」が、寄贈を募っている。読書週間(10月27日~11月9日)に合わせて10月末までに5000冊を目標に集め、約170の保育園に順次贈る計画だ。

「どの子が読むかな?」と想像すると…

 「次の世代の子どもたちが絵本を楽しむだけでなく、寄贈を通じて地域のつながりが生まれてくれれば」
 
 ビブリオポルトス代表理事の小松雄也さん(27)は、こう語る。
 
 小松さんは、クラウドファンディングで集めた資金で本を買い、児童養護施設に贈るなどの活動をしてきた。贈った施設の子どもたちの様子を気に掛けるようになった経験から、絵本の寄贈を橋渡しすることを思い付いた。
 
 子どもが育ったり独立したりして家庭で読まれなくなった絵本は多く、状態も良いのではないかと考えた。市が待機児童の解消に向けて保育園の増設に力を入れる一方、絵本が少ない保育園もあることを知り、ニーズはあると確信して寄贈を募り始めた。
 
 寄贈してくれた家庭に対しては、どの保育園に贈ったかを報告するつもりだ。「『あの保育園の子どもたちは自分の本を読んでくれたかな』と想像することで、自分が住む地域への関心が高まるんじゃないか」と期待する。

寄贈第1号「僕より小さい子が読んでくれるなら」

 できるだけ顔を合わせて寄贈を受けたいと考え、同じ中原区内であれば原則自転車で受け取りに出向く。先月下旬、寄贈第1号となった同区下小田中の会社員大城昌晃さん(39)宅を訪れた際、大城さんの長男で小学3年生の太耀君(8)は「僕より小さい子がもっと本を読んでくれるなら」と、紙袋2つに入った絵本20冊を小松さんに差し出した。

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小松さん㊧に絵本を手渡す大城さん親子=神奈川県川崎市中原区で

 
 小松さんと数年前からの知人という大城さんは、太耀君が読まなくなった本だけでなく、実家から自身が幼い時に読んだ絵本も持ってきた。「いらなくなった本を多くの人に読んでもらう取り組みに共感した」と語った。
 
 小松さんは「寄付という行為になじみがない人は多いが、現金ではなく読まなくなった絵本なら心理的なハードルも低いのではないか」と期待する一方で「どれだけ集められるかはまったく予想がつかない」と苦笑する。
 
 絵本は今月中旬までに500冊集まり、うち270冊を9つの保育園に贈ったという。
 
 区外からの寄贈は郵送で受ける。寄贈の申し出や問い合わせは、小松さんのメールへ。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2018年8月17日]

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