6歳長男がひとり寝できた きっかけはおばあちゃんの入院〈古泉智浩さんの子育て日記〉19
大人と一緒じゃないと眠れなかった
おばあちゃん(僕の母)が手術で入院しました。夜は2人の子どもと一緒に寝てくれていましたが、それなりにストレスだったようです。子どもの言いなりで甘えてしまっていました。病気が発覚し、慌てて僕やママと一緒に寝るように言うと、子どもたちは素直に従ってくれました。
夜9時になると僕が寝る支度をします。部屋を暗くして、子どもたちが見ていたアニメをニュースに変えてオフタイマーをかけます。まず大人が寝ないと子どもは寝ないので、僕はベッドに入って眠ります。ベッドの横に布団も敷いていますが、2人は隣のママの部屋に向かいます。
ママの部屋はセミダブルのベッドがあり、僕のベッドよりは広々と眠ることができます。2歳の里子のぽんこちゃんはテレビの前に敷かれた長座布団で1人で寝ます。自分で毛布を掛けて横になってすっと寝てしまうのです。6歳の養子のうーちゃんはママのベッドでママにくっついて寝ます。時々どちらかが僕の部屋で寝ることもありますが、大抵はママの部屋です。
そんな夜を何日か過ごしていたある日、お兄ちゃんが長座布団でさっさと寝てしまいました。妹はママのベッドで寝ました。お兄ちゃんはこれまでずっと誰か大人と一緒じゃなければ眠ることができなかったのに、妹が1人で寝ている様子を見て、兄として大人っぽいことがしたくなったのでしょうか。今では毎晩、お兄ちゃんが長座布団で寝ています。
もしかして妹に意地悪してるだけ?
また別の日のことです。トンボや猫、イチゴ、ミカン、メガネなどの絵柄のついたカードをぽんこちゃんが床に並べて遊んでいました。
「ぽんこちゃん、メガネはどれ?」。僕がカードを指示するとぽんこちゃんは懸命にそのカードを探します。すると、近くにいたうーちゃんがやってきてメガネのカードをさっと取り上げます。「ぽんこちゃんの! 返して!」。取られたぽんこちゃんは大声で叫び、うーちゃんはカードを奪われまいとします。
6歳の男の子が2歳の女の子を負かしてうれしそうにしているのは一体何なのでしょう。そんな負けん気のおかげで一人寝ができるようになりましたが、ぽんこちゃんが楽しそうに一人寝しているのが悔しくて、意地悪しているだけなような気もします。
おばあちゃんの手術は無事に済んで退院しました。その翌日、ぽんこちゃんは3歳になりました。 (漫画家)