〈中倉彰子さんの子育て日記〉13・末っ子のいたずら
末っ子のシン(2つ)は、上の娘二人の育児では経験したことのないいたずらをしでかすので、戸惑うことが多いです。
「やりたがりの芽を育てる」「ダメダメばかり言わない」-。頭の中では分かっているのですが、目の前で何かされるとついつい、「ダメ!」と言ってしまいます。
塩をまく、歯磨き粉を山盛り…
最近のいたずらの例。
部屋中に塩を振りまくる(部屋中が清められました)。
お風呂に入浴剤を三袋いれる(おかげで肌はしっとり)。
金魚の水槽に、えさを一缶入れる(金魚さん、突然の食べ放題に)。
ほかにも、のり付けスプレーをまだ干している洋服にシュッシュッ。テーブルの上に歯磨き粉を山盛りに出して、歯ブラシでのばす、などなど。私の中での彼は宇宙人、理解不能な存在です。
先日は食卓で容器に入った塩をスプーンで食べようとしました。「ダメよ。しょっぱいから!」。慌てて腕をつかんで止めようとすると「ヤダヤダ!」と反抗。押し問答を繰り返していると、遊びに来ていたお義母(かあ)さんがひと言、「経験だから、食べさせてみたら」。
「えっ? そんな、お義母さん…」(心の声)
手を離すと、シンはうれしそうにスプーンいっぱいの塩を口の中へ…。
「うえー!」
ペッペッと吐きだすシン。これには家族みんな大笑い。その後、シンが塩の容器に近づかなくなったのは言うまでもありません。
実践で身に付ける
将棋も机上で研究を積み重ねるよりも、実戦を通じて経験する方が身に付きやすいといわれます。危険なことでなければ、好きにやらせてあげる方が本人の成長につながるのかもしれませんね。
お義母さんは「大人にとってはいたずらに見えるけど、子どもはこうやったらもっと面白いかな、これはどうなっているのかな?って、いろいろ発見しているのよねぇ」。なるほど。3人の育児を成し遂げた大先輩の懐の深さを感じます。
さて、原稿も一息つき、お風呂のお湯が入ったかな~と見に行くと、湯船に将棋の駒が…。「こら~!! シン!!」
シンの好奇心は無限大。いたずら好きはとどまるところを知りません。(プロ棋士)