〈中倉彰子さんの子育て日記〉16・親と子の姉妹ゲンカ

(2013年5月17日付 東京新聞朝刊)

中倉彰子さんの子育て日記

法事の席で

 先日、母の七回忌の法要がありました。亡くなったのは、長女のマイが1歳の時。母が一時退院で実家に戻り、初めてマイを抱っこした時のうれしそうな顔を、今でもよく覚えています。

 4歳になる次女のマキは母と同じくるくる巻き毛の天然パーマで、どことなく母に似ています。私の妹(棋士の中倉宏美さん)にもちょっと似ていて、妹は「マキちゃんには親近感がわく」と言います。

 マキはお調子者。弟がパパにしかられていると、「ママ、歯を磨く!」「お片付けする!」なんて、急にいい子をアピールしてきたりします。

 マイとマキは普段は仲が良いのですが、よくケンカもします。法事の後の食事会では、姉妹ゲンカが話題になりました。

 パパ 「男同士なら分かるけど、姉妹なのにどうしてこんなにケンカをするのかな。中倉姉妹はどうだったの?」

 私 「うーん。ケンカはしたけど、そんなに多くはなかったかなぁ」

 妹 「お姉ちゃんにはよく脅されたよー。両手の親指と人さし指で鎖を作って『言うこと聞かないとこうだよ(鎖を切る振り)。これが切れたら大変なことが起きるよ。怖いよー』って」

 ケンカにならなかったのはお姉ちゃんが怖かったから、というのが妹の弁。妹の面倒見はよい方だと思っていたのに? でも、妹は昔から私のことが大好きで、「私はお姉ちゃんっ子」って言ってたような。これも怖さから?

対等だから

 その夜、早速お風呂でマイがマキに向かって、「言うこと聞かないとこうだよ! これが切れると、大変なことが起きるよ」。ちょっとちょっとー。ママのまねをするではないー!

 すると、マキがすかさず「マキもこうだよ。これが切れると、楽しいことが起きるよ」。

 ん? 楽しいこと? 脅しに屈せず、楽しいことで返すとは(笑)。

 ケンカができるのは、対等な立場で話せるということ。まぁ2人とも素直に育っているともいえるのかな、なんて思ったりもしました。

 今、仏壇横に置いてある母の写真の隣には、ピンクのカーネーションが供えられています。お母さん、皆元気に過ごしていますよ。(プロ棋士)

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