〈ペアレント・トレーニング〉4・子どもの行動にカチン!→気付かないふりで待ってみよう
悩み「小2の息子が、いつも食事に文句を言います」
好き嫌いの多い小学2年生の息子。いつも食事のメニューに「これ食べたくない」「無理」と文句を言うのでカチンときてしまいます。
解決のヒント「気付かないふりで待ってみましょう」
<臨床心理士・三間直子さんから>
そう言われると、嫌な気持ちになりますし、悲しいですね。
前回まで、子どもをたくさんほめるこつをお伝えしてきました。良い関係がつくれたら、次のステップ「してほしくない行動を減らす」段階へ進みましょう。
今回は「気付かないふりで待つ」練習です。「食事に文句を言う」といったような、好ましくない行動に対しては、つい「文句ばっかり言わないの」と注意したくなるのではないでしょうか。でも、注意をすると、子どもはさらに文句を言ってきて、親子で言い合いが続いてしまうことはありませんか? ここは、あえて反応せず、ぐっとこらえてみましょう。
ポイントは、視線を外す/気をそらす/徹底する。そして、すかさずほめる!
まず、子どもから視線を外しましょう。好ましくない行動をしている様子を大人がじっと見続けていると、子どもは何かしら文句を言ってくるものです。大人側はさらに嫌な気持ちやイライラが大きくなり、子どもに否定的な感情が伝わってしまいます。
素知らぬ顔で食べ続け、好ましくない行動に気付かないふりをしながら、好ましい行動に切り替わるのを待ちます。よく食べている他のきょうだいをほめてもよいでしょう。また、怒りたい気持ちを「ただ我慢する」のは、とってもエネルギーが必要で大変なことです。感情をコントロールするために、親はそばで家事をしたり、時計の秒針を見つめたりして、別のことをしながら待ってもよいでしょう。そして、子どもが諦めて食べ始めたら、すかさず「食べてくれてうれしい」とほめます。
親が応じないでいると、好ましくない行動は一時的に激しくなったり長く続いたりすることがあります。親が応じるまで「絶対食べない」「お母さんの意地悪!」と騒ぎ立てたりするかもしれません。こらえきれず応じると、次からもそのパターンが繰り返される可能性があります。待つことを決めたら徹底しましょう。
ポイントは、子どもがしてほしくない行動をやめて、好ましい行動が出てきたら、すぐにほめること。これが大事です。ほめることで、子は親が好ましい行動を待っていたために反応しなかったことが分かりますし、好ましい行動をして良かった、と安心できるのです。
「気付かないふりで待つ」子どもの行動とあなたの対応を書き出すためのPDFファイルを、こちらからダウンロードできます。
担当記者がやってみると…
夕食中、いつものように息子がナスを使った料理に対して「これ嫌い」と言い始めました。反応せずに、穏やかな顔で娘の方を向いておしゃべりを続けていると、息子は3回くらい文句を言った後、ぶすっとした顔で食べ始めました。すかさず息子の方を向いて「苦手なのに頑張ってくれてうれしいな」と伝えると、意外だったのかハッとした顔になりました。やりあって嫌々食べてもらうより、格段に後味が良かったです。
わが家では、この対応を繰り返していたところ、3カ月ほどたった今では、息子が「これ嫌い」「無理、食べられない」と言わなくなりました。今は、「これ苦手だから、少し減らしてもいい?」「半分食べたんだけど、あと何個食べればいい?」と、やわらかい表現で相談(交渉?)してくれるようになりました。
「全部食べなさい」と無理やり食べさせる方法しか知らなかったら、息子のこんな言葉にも出合えなかったと思うと、こういうやりとりの仕方を学べてラッキーだったと感じます。
コメント