子どもに恋人ができたら セックスに賛成か反対か、できれば親の考えを伝えたい〈性教育ビギナーズ〉
見守るが、放置はしない。声掛けは「一緒に考える」スタンス
―子ども同士の恋愛を止めるつもりはなくても、心配になってしまいます。
子どもが成長すると、心の中に親の知らない領域が生まれます。これは自立や親離れの一歩なんですが、親からすると、さみしさを感じたり、心配だったりしますよね。そんな時は、子どもの気持ちを尊重して見守るのが大事です。
-何もせずに、黙っておけばいいのですか。
いいえ。「放置する」とか「見て見ぬふりをする」とは違います。気になること、おかしいなと思ったことは、口に出して言った方がいいんですね。たとえば、自分の部屋でずっとLINEをやっていて寝ていないとか、顔などにあざができたとか。今までの友だちと会わなくなり、部活にも行かなくなって、恋人としか会っていない場合も、相手との関係が「支配-被支配」になっている可能性があるので、どんなお付き合いをしているのか聞いてみた方がいいですね。
-どのように声を掛けたらいいのでしょうか。
「好きな人ができた」とか「付き合い始めた」といったタイミングがポイントになります。「お付き合いする人がいるの?」などとストレートに聞けると一番いいですね。そうするとその後も「おかしいな」と思ったときに、声を掛けやすくなります。そのタイミングを逃してしまっても、「どんなお付き合いをしているの?」と思い切って聞けるといいです。反発されることもありますが「お付き合いで困ったら相談して大丈夫だよ」というメッセージが伝わればいい。子どもを責めるのではなく、親も一緒に考えるよ、というスタンスだと子どもは受け止めやすいように思います。
コンドームやピルのこと、具体的に堂々と話せばポジティブに
-年ごろになれば、恋愛がセックスにもつながりそうです。
まずは、親自身が避妊や性感染症の知識を身に付けてほしいですね。そして子どもに「付き合っている人に『セックスしたい』と言われたら、どうする?」と聞いてみる。避妊についても、コンドームやピルの買い方や使い方など、具体的に踏み込んで話した方がいい。こうして親が正々堂々と自分の言葉で伝えて、子どもに「セックスについて、話してもいいんだ」というポジティブな印象を持ってもらう。そうすると子どもが、セックスについて恋人ときちんと話す土台ができます。もっとも、直接、話すことが難しければ、信頼できるサイトや本を紹介するのも一つの手です。子どものセックスについて心配するだけでなく、正確な情報にアクセスできる環境をつくっておくんですね。正確な情報や知識を持つことができると、子どもはよく考えて、慎重に行動できるようになります。
―知識を持っていればセックスをしてもいい、と子どもが考えそうです。
できれば、親として、子どものセックスに賛成なのか、反対なのかを伝えたいですね。たとえば男女の恋愛で、男性がコンドームを使い、女性もピルを飲んでいて、性感染症とは無縁という状況でも、私なら「中高生の性行為はOK」とは言いません。セックスは、高度なコミュニケーションの一つだと思います。触られたい場所や気持ちいいと感じる行為は、一人ひとり違っているから、お互いが相手について学んでいく必要がある。そのためには「肩に手を回してほしい」「手をつなぎたい」「そこは触らないで」などと、自分の身体にどのように接してほしいか、相手に伝えることもが大事です。「男の人はこういうことが好きなんだろう」「女だからこうすれば喜ぶのでは」と聞きかじった知識を基に雑にアプローチすると、2人の関係自体がおかしくなります。だから、セックスは、人として成熟し、相手を思いやれるようになってから経験した方がいいと考えています。親の意見をしっかり伝えつつ、正確な知識を土台に、子ども自身が考え、行動できるようになるといいですね。
※〈性教育ビギナーズ〉の連載は今回で終わりです。
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