〈ペアレント・トレーニング〉1・怒ってばかりで疲れるなら、子の行動を3つに分けてみよう

(2018年10月5日付 東京新聞朝刊)

 「ペアレント・トレーニング」という言葉を聞いたことはありますか? 発達障害児の親向けに採り入れられることが多い手法で、子育てのさまざまな場面で有効です。実施経験が豊富な、心身障害児総合医療療育センター(東京都板橋区)の小児科医・長瀬美香さん(50)と臨床心理士・三間(みま)直子さん(47)に、声掛けや振る舞い方のヒントをいただきます。初回は、長瀬さんに「小2の息子に怒ってばかりで疲れる」という悩みへの対応を聞きました。

悩み「小学2年生の息子に怒ってばかりで疲れます」

 朝は「遅刻するよ!」、夜は「宿題と明日の準備、早く終わらせなさーい!」。なかなか自分から動こうとしない小学2年生の息子。怒ってばかりで疲れます。

解決のヒント「子どもの行動を3つに分けてみましょう」

<小児科医・長瀬美香さんから>

 毎日同じことを繰り返し注意するのは、うんざりしてしまいますね。怒ることで、子のやる気をそぎ、場合によっては反抗的な態度を生む-という悪循環に陥っている可能性があります。

 ここでお子さんの行動が本当に怒る必要のあるものなのか、一度見つめ直してみませんか? もしかしたら、「いいな」と思える行動も隠れているかもしれません。まずは、子どもの日常の行動を、次の3つに分けて書き出してみましょう。

(1)好ましい行動(望ましい行動)

(2)好ましくない行動(減らしたいが危険ではない行動)

(3)危険な行動、許しがたい行動(人や物を傷つける行動)

 (2)や(3)はたくさん挙がるかもしれません。(1)は「おはようと言うと、おはようと返す」のような当たり前のことでもいいですよ。素晴らしい行動でなくても、「明日もしてほしい」と思ったら(1)に挙げましょう。

 ポイントは、第三者が読んだ時に状況が思い浮かぶように書くことです。例えば「朝、だらだらする」ではなく「登校する時間が近づいてもソファでテレビを見ている」のように、具体的な言葉にしてみましょう。

 

第三者が読んだときに状況が思い浮かぶように、具体的に書くのがポイント。1~2週間かけて、思いついたときに書き出してみましょう

「子どもの行動を3つにわけて書き出す」ためのPDFファイルを、こちらからダウンロードできます。

 次回から、(1)(2)(3)それぞれの行動に対して、親がどんな対応をするとよいかを学んでいきます。 

やってみると 

 3つに分けることにどんな意味があるんだろう、と半信半疑で取り組みました。(1)を挙げることで「いいところもいっぱいある」と気付きました。やはり(2)は多いですが、本当に問題な行動は(3)だけなのかもと感じ、少し気が楽になりました。

担当記者から

 4歳、小学2年、4年の3人の子育て中です。先日、ついに末っ子に「お母さん、いつも怒ってるよね」と言われてしまいました。ペアレント・トレーニングは主に発達障害児の親向けに採り入れられていますが、子育てに役立つヒントがいっぱい。2人の専門家に話を聞きながら、イライラしない子育てを目指して進みます。

※「笑顔が増える ペアレント・トレーニング」は毎月第1金曜に掲載します。

連載「ペアレント・トレーニング」の記事一覧はこちらです。

コメント

  • 私も保育園の知的を伴う自閉症児を育てています。 ペアレント・トレーニングも受けましたが実際には使えず。もう怒る癖が取れない。 この先自閉症児を育てていく自信がありません。もう正直逃げたいで
    ミカン 女性 40代 
  • みなさんのコメントをよんで自分だけじゃないと思いつつも、これから先もずっと子供に付き合っていかないといけないと思うと辛いです。 高学年娘がグレーゾーンです。2年生から癇癪がひどくなり、学校で発達
    ねこ 女性 40代