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誰だって虐待と隣り合わせ 「たたいてしまった、怒鳴ってしまった…」すくすく編集チーム座談会

 特集「ストップ子ども虐待 わたしたちにできること」では、虐待につながる恐れもある体罰をなくしていく必要性を伝えてきました。でも、休みなく続く子育ての日々、イライラを抑えられず、子どもにその気持ちをぶつけてしまった経験はだれにでもあるのではないでしょうか。東京すくすく編集チームのメンバーたちで経験を語り合いました。
A:小学生と保育園児の母親(40代)
B:小中学生の母親(40代)
C:保育園児の父親(40代)
D:小学生と保育園児の母親(40代)
E:小学生と保育園児の母親(30代)
F:小学生と保育園児の母親(30代)
G:保育園児の父親(30代)

【告白】あれも虐待だったのかもしれない

A 今は小学生になった娘は里帰り出産で、生後1カ月ごろに自宅に戻りました。出産直前に転勤したので、近所に友人もおらず、夫も仕事が忙しくて子どもが起きている時間はほとんど家にいないような状態で、帰宅が深夜や朝方になる日も多かった。初めての子育てで、1日中赤ちゃんと2人でいると、ずっと気が張り詰めていた。ある夜中、「ようやく寝た」と思ってほっとしたのに、すぐに泣かれてしまった時、布団の上で泣いている娘に思わず「寝ろよ」とつぶやいていた。赤ちゃんにそんな言葉をぶつけるなんて、とハッとした。だけど、これがもっと追い詰められていったら、泣いている赤ちゃんに布団をかぶせて窒息させちゃったりすることだってあり得るんだろうな、って思った。

B いつも穏やかで丁寧な物腰のAさんが…びっくりした。でも、赤ちゃん期の夜泣きは本当に追い詰められやすいよね。私も自分の子なのに、泣き声を恐怖に感じることすらあったのを思い出す。寝不足が続いていて、神経も休まらなくて、「これが永遠に続くのか」と出口のない気持ちになってしまう。

子どもへの体罰などの経験を語り合い、なくすための方法を考える「東京すくすく」編集チームのメンバー

子どもへの体罰などの経験を語り合い、なくすための方法を考える「東京すくすく」編集チームのメンバー

C 「イヤイヤ期」と言われる2、3歳ごろも大変。いたずらしていた息子に、最初は「やめようね」と言葉で伝えていたけど、全然言うことを聞かずにやり続けたことにイラッとしてしまって。肩をつかんで強めにゆすりながら「もうやらないって言ったよね!」と強い口調で言った。息子にとっては、それが初めて親から痛い思いをさせられた経験だったから、瞬時に体が固まって、数秒後に号泣した。その時の息子の表情を見て「恐怖を感じたんだな」ということがよく分かった。今もせっかく作ったご飯に見向きもせず、他のものが食べたいとか言われると、黒い気持ちが湧いてきたりもする…。

D 娘が2歳のころ、スプーンでテーブルを何度も何度もたたく音に我慢しきれず「こうやってやるとさ! うるさいでしょ!」と叫びながら、娘が手に持っていたスプーンを奪い取ってテーブルにガンガン打ち付けたことがあります。娘はあっけにとられて私を見ていた。その時のシーンとした空気と、娘の瞳を今も思い出します。テーブルにはその時の傷が今もあって、目に入るたびにゾッとします。

B 私も息子が2歳の時、たたいてしまったことがあります。遅刻できない仕事の予定があるのに、朝、保育園に行く前に玄関で息子がぐずりまくって、出かけられなくなってしまって。なんとか抱いて出ようとしても全然思うようにいかず、思わずほっぺたをパシンとたたいた。さらにギャン泣きする息子をどうやって保育園に連れて行ったのか。少し赤くなった息子の頬を今も思い出すことがあります。

子どもへの体罰などの経験を語り合い、なくすための方法を考える「東京すくすく」編集チームのメンバー

E たたいたことはないけれど、日々、すごい怒鳴っている。仕事を家に持ち帰らなくてはいけないこともあって、でもそういう時に限って子どもは「ママー、ママー」と甘えてくる。余裕がなくなってくると、「ちょっと黙ってて!」「どっか行ってて!」とか強く言っちゃうことも。休日もずっと子どもの相手ばかりでイライラが募ってくると、公園に連れて行って、「1人で遊んでて」と言って、自分はパソコン開いて仕事しちゃったりすることもあるんですよね。

F きょうだいげんかにイライラしてしょっちゅう大声をあげちゃう。注意している自分の怒鳴り声が一番大きかったりするくらい。夫の子どもへの対応に「それどうなの?」って思ってモヤモヤする時もある。歯磨きをしようとして、子どもが「やらなーい」と言うことを聞かないと、怖い鬼が出てくるスマホアプリを使って怖がらせてやらせようとしたり。寝かしつけも、自分が仕事を抱えていたり、見たいテレビがあったりすると、「はやく寝ろ!」と怒鳴ったり、ちょっとの間だけどベランダに出したり…

【対策】お菓子、窓…苦渋のあの手この手

G 感情的になるのはみんな、子どもが言うことをきかず、ぐずられた時ですね。僕は、ぐずった時にはお菓子とかあげちゃいます。スマホも見せるし、テレビも見せる。一度、保育園に行く時にごねられて、「もう知らないよ」と子どもを残して、外に1人で出たりしたこともあるけれど、余計にこじれて時間がかかっちゃって逆効果だったから。それで子どもの機嫌が直るなら、怒鳴ったりたたいたりするよりはいいかなって。

A 「人の目」が抑止力になることもあるかも。うちはなるべく窓を開けておくようにしている。怒鳴り声とかがお隣さんにも聞こえちゃう、という状態にしておくことで、イラッとしても少し自分を抑えられる。夫がいるかいないかでも違うかもしれない。怒鳴ったり、汚い言葉を使っちゃったりするのは、自分1人と子どもたちだけ、ということが多い気がする。それと、食事を食べてくれないことを悩んでいたら、保育園の保護者会で先輩ママが「イライラするでしょ? 実況中継やってみたら面白いよ」とアドバイスしてくれた。「さあ、○○くん、箸を持ち上げました。今日は大根を食べるでしょうか」とか(笑)。けんかの仲裁もそうやってみたら、そのうち子どもたちがばからしくなっちゃうみたい。

子どもへの体罰などの経験を語り合い、なくすための方法を考える「東京すくすく」編集チームのメンバー

【背景】「なんだあの親」と思われるのが怖い

E 電車内とか他の人がいる場所では、子どもが騒いだり、だだをこねたりした時に、親がきつく叱っていないと「なんだあの親」と言われるんじゃないか、という恐怖がある。あえて厳しく言う「見せる怒り方」というか。でも、これは日本に独特なのかも。スイスでは、公共の場で子どもを怒鳴ったりしている親は見ないというのを聞いて、社会全体で「子どもを怒鳴るのはよくない」という認識が広がらないと、親だけでは変われない部分もあるのかな、と感じた。

A 分かるかも。年の近いきょうだいが幼い時期には、電車に乗っている時なんかに騒ぎ出しちゃうと、大きな声で叱ることもできなくて、げんこつしたりしたことがあります。

G しつけのためだったら、体罰は仕方がないのでは、っていうふうに思う人は多いんじゃないかな。たとえば、よその子を傷つけたりするような、絶対にしてはいけないことを子どもがしてしまった時とか。

C うーん。でも自分自身、小学校の時、自分は失敗したと思っていないことで先生に怒られてたたかれたことを今も「許せない」と思ってる。たたいて教えようとしても、嫌だったという感情が残るだけなんじゃないかな。子育てで感じるイライラって、仕事とはまったく違うもの。逃れることができない気持ちになるというか。

【防止】どうしたら食い止められるのだろう?

B 私は息子をたたいてしまった後、思わず実家の母親に電話して「たたいちゃった」と泣きながら話した。母は「たまたまその1回手が出ちゃったとしても、それだけで消えない傷にはならないから大丈夫」と声を掛けてくれた。保育園の先生も朝、様子がおかしいことに気づいてくれていたようで、その日のお迎えの時に、話を聞いてもらうことで落ち着くことができた。自分を否定せず、受け止めてくれる人がいれば、エスカレートさせずに済むと思う。

A とにかく、児童館でも、保育園の地域の乳児親子向けの会でも何でもいいから、外に出ていくことだと思います。いろんな親子が、それぞれに自分と同じような悩みや、まったく違う悩みを抱えている。私は、そのことを知るだけでも、気持ちがぐんと楽になった。みんな、黒~い気持ちを抱えてるんだ、私おかしくないんだ、これでいいんだって。

E みんなの話を聞いて、自分だけじゃないんだとちょっとホッとした。私は虐待関係の取材などを通じて、体罰や暴言によって子どもの脳が傷つけられて、学習意欲が低下したり、不安定な精神状況になったりする、ということを知ることができた。こういう知識を親が知り、どこか頭の隅に留めておくことだけでも、食い止める力になると思う。もし、たたいたり、怒鳴ったりする不適切な対応をしてしまっても、そのたびに原点に立ち返ることが大事かなと思ってます。

<特集「ストップ 子ども虐待 わたしたちにできること」トップはこちら

すくすくボイス

子どもを怒鳴ったり、たたいたりしてしまうほど追い込まれた時、どんな助けがあったらと思いますか?

コメント

  • 匿名 より:

    一週間に一度の各々の休暇。各々が自立して居れるような環境。
    そういった福祉があればいいな。
    赤ちゃん子育ては産後欝に陥るのは誰にでもありうること。
    すこし、「泣くなよ」とかそういう言葉を使っても社会がそういう母親を許す、いい母親像を求めない、四苦八苦の時期。
    現代は近所が厳しいから、福祉サービスを安価で利用できるよう行政が整えて欲しい。
    そういったことから女性の復職も易しくなってゆくのでは。

  • 匿名 より:

    子供を当たり前のように預けられる社会、サービス。

  • 匿名 より:

    仕事のない日に、自分の時間を取り戻せるサービス。
    家事育児仕事でおわれ、自分自身を整理する時間が皆無。休日に短くても誰にも邪魔されず自分のペースで過ごす時を持てれば子どもの要求に答える心の余裕がとれる。

  • 匿名 より:

    私も「優しくて絶対怒らなそう」と周りから言われるけど、実際子どもにはきつく怒ったり、時にはゴツンとしてしまいます。イライラしない子育てはなかなかできません。

    祖父母や近所の人、地域の子育て関係施設の人と話ができることで、親が孤立しない状況を作り、地域で子どもの