企業主導型保育、助成金詐欺が相次いだのに…審査の委託先はまた「児童育成協会」に決定

川田篤志 (2020年3月7日付 東京新聞朝刊)
 国の助成金詐取など問題が相次いだ企業主導型保育事業を巡り、内閣府は6日、申請の審査や助成金支給といった実務の委託先の再公募で、これまでと同じ公益財団法人「児童育成協会」(東京)に委託することを決めた。不正のチェックが不十分だった団体だけに再発防止を徹底できるかが課題で、保育団体は国の指導強化を求めている。 

再公募の参加は他に1団体だけ 保育所運営側なので選ばれず 

 再公募には児童育成協会を含む2団体が参加。もう1つの団体は企業型保育所を運営し、審査を受ける側にも該当するため、選考されなかった。4月から保育事業者の新規受け付けを再開し、審査を経て10月末に助成を決定する。

 再公募に当たり設置された外部有識者による点検・評価委員会は、協会の人員不足などの管理体制を問題視。体制強化のために専任理事を置くほか、不正受給防止の審査基準を設けることや、業務改善の定期的な報告も求めた。

待機児童対策の目玉が…詐欺で逮捕者も 239施設が取りやめ

 企業主導型保育事業は、安倍政権の待機児童対策の目玉として2016年から始まった。

 自治体の認可は不要で、基準を満たせば整備費の4分の3相当額が支給され、運営費も助成される。企業の従業員の子どもが優先して入所できる。2016~2018年度に計約3800億円の予算が組まれ2018年度末までに約3800施設が開設された。

 しかし、多額の助成金に頼った放漫経営による定員割れや閉鎖などの問題が表面化。不正受給も相次ぎ、詐欺事件で逮捕者も出た。内閣府によると、これまでに239施設が事業を取りやめた。

「丸投げした内閣府にも責任がある。国は監督してほしい」

 運営者向けの研修などを行う一般社団法人「企業主導型保育連盟」の前嶋修代表理事は「審査や監査を丸投げしていた内閣府にも責任がある。協会の体制強化に実効性があるか国は監督してほしい」と注文。待機児童解消の目標達成を優先するあまり、急激に施設数を増やす手法に問題があったとも指摘した。

 衛藤晟一少子化担当相は6日の記者会見で「内閣府にも責任があった。反省を踏まえスタートしたい」と語った。

企業主導型保育事業とは 

 主に企業の従業員の子どもが利用する認可外保育施設の整備費や運営費を国が助成する制度。自治体の審査と認可が不要ながら認可施設並みの助成を受けられるため、迅速に整備でき、企業イメージも向上するとして広がった。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年3月7日