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企業主導型保育の助成金審査 専門知識は乏しく「数をこなすこと」優先 「ばらまきに近い」との声も

(2019年8月6日付 東京新聞朝刊)
 政府が力を入れ、本年度の予算が2000億円に上る「企業主導型保育事業」を、所管の内閣府は委託先の公益財団法人「児童育成協会」に任せきりにし、助成金が適切に支出されているかチェックしていなかった。任された協会側は取材に対し、審査に当たっているのは多くが専門知識のある職員ではなく「数をこなすのが大命題だった」と明かす。両者のずさんな対応が重なり、さまざまな問題が起きる土壌が生まれた。

「保育はもうかる」ブローカーが素人に持ち掛け

 「なぜこんなにお金がかかるのか。経営的にも通常、定員20人の保育所に1億円はかけない。保育の専門業者が見たら、おかしいと分かるはず」

 全国で認可保育所など数十の施設を運営する保育コンサルタントの男性は以前、企業主導型保育所を始めようとして困った人から相談を受け、首をかしげた。

 その人物は「保育はもうかる」と聞き、経営者仲間ら10人ほどで出資し、ブローカーの仲介で札幌市に建設していた。8割ほどできた時点で、建築費9000万円は高すぎるのではないかと相談してきた。男性によると、この規模の保育所は都市部ではテナントを借りて開くのが一般的で、整備費も半額以下という。「ブローカーが建築業者とつるみ、素人に声を掛ける。こんな話は他にも聞いた」

自治体の「認可」なし 実績のない業者が続々と

 企業主導型保育事業の国の予算は、毎年消化できていなかったが年々増額された。本年度は初年度の約2.5倍。背景に、安倍政権が2020年度末までに待機児童をゼロにする公約を掲げ、切り札として企業主導型の整備目標を高くしてきたことがある。

 従来の認可保育所を開設する場合は、自治体の担当課と事前に協議し、運営実績や財務状況などの審査を受け、認可されなければならない。しかし、企業主導型は、自治体の認可がいらない「認可外」。児童育成協会の審査は基本的に書類のみで、保育実績のない業者も続々参入。コンサルの男性は「審査していないのと同じ。ばらまきに近かった」と話す。

開設できていない施設などにも6億9000万円

 協会の担当者は、助成の審査方法について「申請してきた事業者に、建設業者二社以上から見積もりを取らせ、価格の低い方に決めている」と説明。ただ、「何千もの申請があり、数をこなすのが大命題だった」と漏らす。2018年度は4887施設の申請を受け付け、3817施設の助成を決定したが、審査に当たった協会職員は、今年3月時点で派遣職員を含めて50人余だった。

 会計検査院は今年4月、「助成金審査が不十分」として内閣府に改善を求めた。同院の検査では、平均定員充足率が50%に満たず利用が低調な施設へ少なくとも計約31億7000万円、設備基準を確認せずに整備を始めて開設に至っていないなどの施設へ計約6億9000万円が助成されていた。