疲弊する保育士、預け先がないと困る親… 緊急事態宣言で都内に広がる休園と登園自粛 保育現場は苦悩
医療従事者や保護者が休めない場合は受け入れ
東京都内ではこれまで開園してきた千代田区、中央区、杉並区、豊島区、渋谷区、墨田区、足立区、文京区は5月6日まで休園する。保護者が医療従事者の場合や、世帯の保護者全員が休めない場合など、やむをえないケースは受け入れるという。
練馬区、目黒区、品川区、港区、台東区、荒川区、北区、葛飾区、江戸川区と町田市は5月6日まで利用自粛を求めている。
このほか、板橋区は7日、保護者が在宅する場合は来園しないよう求める通知を各家庭に配布。中野区は受け入れ縮小の方向で、新宿区、世田谷区、江東区は対応を検討中。中野区の担当者は「感染防止の効果と保育の必要性のバランスで、どんな方法がいいのか検討する」と話している。
園内で感染者が出た場合の受け皿づくりも必要
国は宣言後の対応に関して、都道府県知事が保育園の使用制限を要請していない場合、保育を縮小して実施を検討するよう求めている。ただし知事が休園を要請したら「その要請を踏まえた対応が必要」とした。
東京都の場合は「保育園は緊急事態宣言によって休業を要請する施設として想定していない」(都の担当者)。ただ、園内で感染者が出るなど休園せざるを得ない場合、仕事を休めない保護者の子どもらの受け皿づくりを求めている。
保育園の実情 「園児に感染させられない」のに、マスクも消毒液も足りない
保護者も保育士も戸惑い 散歩で近隣の目が…
東京都内では、渋谷区など保育所を臨時休園する動きが広がっている。一方、インフラ関係や在宅勤務ができない職場で働く親からは「預け先がないと困る」という切実な声も。休園か開園かの判断が自治体で分かれ、保護者、保育士から不安や戸惑う声が上がる。
8日昼すぎ、江東区の認可保育園「スクルドエンジェル北砂園」で、会社員の母親(36)が仕事を切り上げ、長男(5つ)と次男(3つ)を迎えに来た。「宣言も出て、できるだけ人と接しない方がいいかなと思って。明日から在宅勤務にします」
同園では保育士のマスク着用や消毒、手洗いの徹底など感染防止対策をしているが、女性園長(46)は「保育士は園児に感染させないように気を使いながら保育し、疲弊している」と話す。外出自粛要請の中、園児を連れて散歩していると「近隣の目が気になった」と話す保育士もおり、「保育士の精神的な負担が増している」と明かす。
「#保育園を休園に」「預け先はどうすれば」
登園自粛を求めながら、開園する方針の大田区。認可保育園の女性園長(47)は「開けるなら、マスクや消毒液などの備品は確保してほしい」と求める。手元の在庫は底をつきそうだ。
保護者も複雑な思いを抱える。インターネットでは、ツイッターに感染不安から「#保育園を休園に」という声がある一方、預け先を求める悲鳴も聞こえる。
9日からの認可保育園の休園が決まった千代田区の自営業女性(37)は、今月から生後7カ月の長男を預け始めたばかり。できる限り仕事を減らし、今週は2日間、在宅勤務にしたが、取引先の都合で外出が必要な仕事がある。夫は在宅勤務ができない職場だ。「感染は怖いし、保育士たちの大変さも分かるが、これからどうしたら…」。感染リスクが高い両親にも預けられない。「夫に有休を取ってもらい、乗り切るしかないのか。先が読めない」と頭を抱えた。
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