園庭のない認可保育所が増加、都心は深刻 港区・中央区・千代田区・文京区は保有率10%台 「親の会」全国100自治体調査
奥野斐 (2020年10月8日付 東京新聞朝刊)
「保育園を考える親の会」(東京都豊島区)は7日、待機児童の多い全国の政令市と南関東の百自治体で今年4月、認可保育施設に入所できた子どもの割合は77.5%だったと公表した。一方、園庭のある認可保育所の割合は71.8%にとどまり、東京23区では10%台の自治体もある。保育士らによる「不適切保育」も問題になるなど、質の改善が課題になっている。
「申請しても認可施設を利用できず」国発表の待機児童数の12.5倍
調査によると、認可保育所や認定こども園、小規模保育などの認可保育施設に新たに申し込みをした子どものうち、入所できたのは回答のあった89市区の平均で77.5%で、昨年度より0.1ポイント減。最も高かったのは千葉県我孫子市で昨年度に続き100%、最低は札幌市で59.4%だった。
国が発表した待機児童数は4月時点で12439人。調査対象の100自治体では4186人だったが、保育園を考える親の会の調べでは、認可施設への入所を申請しながら利用できなかった子どもは、「隠れ待機児童」を含め52183人となり、国が示す待機児童数の12.5倍に上った。
①東京都港区 | 18.7% |
---|---|
②東京都中央区 | 19.0% |
②東京都千代田区 | 19.0% |
④東京都文京区 | 19.6% |
⑤東京都品川区 | 26.2% |
⑥東京都台東区 | 27.5% |
⑦東京都目黒区 | 29.2% |
⑧東京都新宿区 | 32.2% |
⑨東京都豊島区 | 32.6% |
⑩千葉県浦安市 | 40.0% |
また、待機児童対策で認可保育所が急増した地域では、園庭のない施設が増加。保育園を考える親の会が園庭保有率を2015年に初めて調べた時は80.3%だったが、右肩下がりで割合が低くなっている。東京23区は深刻で、回答のあった98市区では港、中央、千代田、文京の各区が10%台だった。
普光院亜紀代表「社会が子どものためにスペースをあけてほしい」
普光院(ふこういん)亜紀代表は「空き家や空き地を有効活用し、積極的に保育所や園庭を整備している自治体もある。土地の使い方は工夫のしようがある。もっと社会が子どものためにスペースをあけてほしい」と話した。
保育園を考える親の会は2001年から東京、神奈川、千葉、埼玉の主要市区や全国の政令市を対象に毎年調査している。調査結果は「100都市保育力充実度チェック 2020年度版」(A4判、98ページ)に収録。保育園を考える親の会のホームページで1冊900円で購入できる。
コメント