緊急事態宣言が迫る中、保育士は苦悩「これ以上対策しようがない」 おもちゃ消毒1日4回、送迎対応…増え続ける負担
保護者を中に入れない→業務が増加
乳幼児72人が在籍する横浜市西区の認可保育所「ムーミン保育園」では年始の預かり初日となったこの日、職員ミーティングを開いた。杉浦昌代施設長(57)は「宣言が再発令されたとしても、常に予防に気をつけながら、保育が必要な子たちを受け入れていく」と強調する。
昨年春の感染拡大後、同園は朝夕の送迎対応を見直した。従来は保護者が保育室に入って紙おむつや着替えなどの持ち物整理をしていたが、今は保育室前の廊下で子どもと荷物を受け渡す。手間のかかる布団カバーの交換も保護者から保育士の仕事にした。
朝の登園時は保育のほか、荷物・保護者対応に人手が必要となるため、勤務シフトを組み替えて出勤者を増やしているが、保育士不足の中で新たな人材確保は難しく、職員の負担が増している。
休憩時間を削って消毒 精神的負担
おもちゃの消毒も乳児用は1日2回から4回に増やした。幼児用は週1回程度だったが、今は使ったら毎回廊下に出し、子どもの昼寝中などに消毒する。
杉浦施設長は「おもちゃをなめたりする乳児はもちろん、幼児も飛沫が飛んでいる可能性があるので慎重に対応している」と話す。消毒にかかる時間は1日に1時間程度。家庭への連絡帳を書く時間などは削れず、「昼の休憩時間を切り上げて対応している」と五瀬慈紗・主任保育士(34)は明かす。
他にも食事用テーブルを増やして席を離したり、昼寝の際に顔が近づかないよう頭と足を互い違いに配置するなど、きめ細かな感染対策を重ねる。
「絶対に感染者を出してはいけないという思いで、ずっと気を張っている」と五瀬主任保育士。杉浦施設長は「保育士は一つ一つのアクションごとに判断を迫られ、神経を使い続ける疲弊感がある。身体的にも精神的にも大変な状況が続いている」と指摘している。
感染予防対策でますます人手不足に
横浜市内の保育関係者らでつくる「横浜保育問題協議会」が昨年11月に市内の認可保育園694園を対象に実施したアンケート(204園が回答)によると、朝夕の送迎時に保護者が保育室に入らないように子どもと荷物の受け渡しを玄関や廊下などに変更した園は8割近くになった。
同会は「感染予防対策で人手がますます不足している」として、横浜市に対し、過重労働や人手不足を解消するため、
- 人件費を確保できる補助金の新設
- 危険手当(慰労金)の支給
- 保育士が丁寧に子どもたちと向き合うための保育士配置基準の見直し
―などを求めている。
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