〈保育園給食の人気レシピ〉豚肉とサツマイモの甘辛煮 フォーク使い始めの子にぴったり
材料(子ども10人分)
- 豚薄切り肉 300g
- 片栗粉 8g(大さじ1)
- サツマイモ 150g (小1本)
- タマネギ 100g (中1/2個)
- ピーマン 30g (1~2個)
- サラダ油 4g(小さじ1)
- ごま油 10g(大さじ1弱)
- 砂糖 8g(大さじ1弱)
- 塩 1g (小さじ1/5)
- しょうゆ 14g(大さじ1弱)
- カレー粉 1g (小さじ1/2)
※かっこ内は目安です
作り方
1. 豚肉は食べやすい大きさ(園では1.5cm角)に切る。ポリ袋に入れて片栗粉を加え、よく振り混ぜておく。
2. ピーマンは1~2㎝大の乱切り、タマネギは2㎝大の角切り、サツマイモは2~2.5㎝大の乱切りにする。
3. フライパンに油を入れ、ピーマンを半量の砂糖を加えて炒め、皿に取り出しておく。
4. 鍋に水1/2カップを注ぎ、タマネギ、サツマイモを入れてふたをし、中火で蒸し煮する。
5. フライパンにごま油を入れて(1)の豚肉を炒め、砂糖、塩、しょうゆ、カレー粉を加えて味を付ける。
6. (5)に(4)と(3) を加えて混ぜ合わせ、器に盛る。
子どもが食べやすいポイント
ほのかなカレーの香りが食欲をそそります。子どもたちは、味の付いた小さめでかみやすくやわらかい肉を、まずパクリ。フォークがようやく使えるようになってきた子も刺しやすいように大きめに切ったサツマイモにフォークを刺し、パクリ。ほんのり砂糖を絡ませつつ炒めたピーマンもパクリ。手も口も、止まらなくなること請け合いです。
ーフォークを使えるようになるコツはありますか?
スプーンの方が使い慣れているからか、「刺してみる?」と声をかけないと自ら刺す子は少ないのですが、食具が使えるようになるのも毎日の練習があるからこそ。食材の大きさや適度な硬さに加え、そばにいる大人の働きかけ・声かけがとても大事です。
園では刺して食べられるメニューの時はフォークを用意しておき、子どもがまねできるように大人が目の前で刺して見せます。「刺せた!」のタイミングを見逃さないようにして、ほめます。「できたね」と声をかけたり、なでたり、「見てたよ」という気持ちを込めてうなずいたり。アイコンタクトを交わすだけでも子どもにとっては大きな励ましになります。できた瞬間の、なんともいえない素敵な表情に出合えた時は幸せです。
ー豚肉に片栗粉をまぶしたり、ピーマンを別に炒めたり、ひと手間かける理由は?
豚肉に片栗粉をまぶすと、かみやすくなり、調味料もよく絡むので、一口食べると、次も肉を狙ってスプーンに載せて食べる子が多いんです。急いでいると片栗粉をまぶすことをせず、油をひいたフライパンにそのまま投入してしまいたくなるものです。でも、やはりこのひと手間を加えることにより、出来上がりの味と子どもの食べっぷりが格段に違ってきます。
ピーマンは大きいと、よけられてしまいがちなので、あまり目立たないようスプーンの中に収まる大きさにしています。ピーマンに砂糖を加えて別に炒めておくのは、甘みが加わることで苦手な子でも食べやすくなるからです。蒸すのと比べ、色もよくなります。ピーマンが食べられる子は、ほかの野菜と一緒に蒸したり炒めたりするので構いません。その場合、砂糖は全量を(5)で豚肉の味付けに入れてもよいですし、お好みで減らしても構いません。
タマネギとサツマイモを蒸し煮しているのは、かむ力が成長途上にある子が食べやすいようにやわらかく仕上げるためです。かむことに苦労しない年齢の場合は、全ての具材を炒めてしまっても問題ありません。
アレンジのヒント
このメニューと似た「肉じゃが(カレー味)」も、園ではよく出します。蒸し煮にする野菜の組み合わせを、「ジャガイモ、タマネギ、ニンジン、インゲン(枝豆でもOK)」に替えて同じように作ります。
ほんのり程度の香りなので、年齢の大きい子や大人が食べる場合は、好みに合わせてカレー粉を増やしたり、砂糖を控えめに入れたりしてください。カレー粉を増やす場合は、(5)で豚肉を炒める際に、ごま油ではなく、香らないサラダ油を使うことをおすすめします。
秋なので、キノコ類やレンコンを加えると、香りと食感も楽しめます。肉も、鶏肉でもベーコンでも合います。しょうゆ無しで塩を小さじ1/2ほど加えてもいいでしょう。
みそ味のピリ辛アレンジも大人向けです。サラダ油にニンニク小さじ1弱と、タカノツメ1本を入れて香りを出してから肉を炒め、続いてピーマンとシメジを加えて炒め、みそ大さじ1と、砂糖小さじ1を入れて味付けした後、蒸した野菜(タマネギ、サツマイモ、カボチャ)を合わせます。同じ材料でオリーブオイルと塩で味付けをしてもおいしいですよ。
いろいろなアレンジを楽しんで、食欲の秋を満喫しましょう。
管理栄養士・中村えみ子さん
1969年生まれ。川崎市にある「みんなのほいくえん at むさしこすぎ」の管理栄養士。大学病院などで栄養士として勤務後、子育てを経て、保育園の管理栄養士として復職。素材のよさを最大限に生かしたいと、同僚栄養士が驚くほど丁寧な下ごしらえを心がけている。アレルギーに配慮した給食に力を入れるのは、「みんなで同じものを食べれば、子どももうれしいし、保育士・調理師・栄養士の負担も減るし、食べ間違いのリスクも減らせるから」。