〈保育園給食の人気レシピ〉夏野菜豚汁 トマトとオクラで栄養たっぷり、夏バテしない!

子どもが喜ぶ!保育園給食の人気レシピ

 暑い日が続き子どもの夏バテが気になる8月は、彩り豊かで栄養満点の「夏野菜豚汁」を紹介します。豚肉+みそ+トマト+オクラの組み合わせで、ビタミンとミネラルがたっぷりとれるメニューです。みそ汁にトマト、と聞くと意外に感じるかもしれませんが、実はとても相性がよく、おいしさがパワーアップする組み合わせです。小さい子にとってはのみ込みにくい豚肉は、薄切りを使うことで食べやすく、かむ練習にもなります。卵・乳・小麦アレルギーのあるお子さんも食べられますので、ぜひ一緒にどうぞ。

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※紹介するのは、保育園で<1~2歳の子ども10人分>として作っている分量です。目安としては、<大人2人+よく食べる小学生くらいの子ども2人>が満足できるくらいの量です。家庭でも作りやすい分量ですが、ご家族の人数や食欲に合わせて、半量や1.5倍量にして作ってみてください。

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材料(子ども10人分)

  • 豚肉(赤身、薄切り) 100g
  • トマト 150g(中1個)
  • タマネギ 70g(中1/2個)
  • オクラ    50g(4~5本)
  • キャベツ 50g(2~3枚)
  • 油 5g(小さじ1強)
  • かつおだし汁 800ml(4カップ)
  • みそ 36g(大さじ2)

作り方

1. トマトは湯むきして1cm角に切る。

2. オクラは1~2分下ゆでし、小口切りにする。

3. 鍋に水、タマネギ、キャベツを入れ、蒸し煮する。

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4. 別の鍋にお湯を沸かし、かつお節を入れて、だし汁を作る。

5. 豚肉の薄切りを1~2cm四方くらいに切る。

6. フライパンに油を入れ、豚肉を炒める。

7. (3)の鍋に炒めた豚肉を加える。

8. (7)にだし汁を入れ、トマトとオクラを加える。

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9. ふつふつしてきたら、みそを溶き入れ完成。

子どもが食べやすいポイント

ー豚肉を油で炒めるのはどうしてですか?

 肉の周りを油でコーティングして、肉の水分を逃がさないようにするためです。こうすることで、軟らかく、かみやすくなります。小さなお子さんにとっては、肉はかみ切りにくく、のみ込みにくいので、園では薄切り肉を1~2cm角に切って提供しています。かむ練習もできるように、ひき肉ではなく薄切り肉を使用しています。さらに薄い「しゃぶしゃぶ用」だと、より食べやすいでしょう。

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ートマトとみそ汁って合うんでしょうか?

 たしかに、普通の豚汁には入っていませんし、初めは抵抗があるかもしれません。みそ汁にトマトを入れると、生で食べるときとは少し違って、さわやかな酸味とほっとするような優しい味わいに、ずっと食べ続けていたくなるような感覚になります。

 なぜなのでしょうか。これにはちゃんと科学的な理由があります。トマトに含まれるうまみ成分「グアニル酸」と、みそとトマトに含まれるうまみ成分「グルタミン酸」は相乗効果があり、さらに、「グアニル酸」を含むトマトは、加熱するとさらにうまみが増すことが分かっています。

ートマトの湯むきは必要ですか?

 かみやすくするために、トマトは湯むきをしています。皮を嫌がることなく食べられていれば、湯むきの手間は必要ありません。「食べたくない」と言ったり、残す様子が見られるようであれば皮をむいてみてください。

 また、大人にとっては爽やかな酸味がおいしく感じられるトマトですが、酸味が苦手なお子さんには少し長めに煮ると、酸味が減って食べやすくなります。小さめにカットし、口に入る量を少なくすると、さらに抵抗なく食べられると思います。

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 園では子どもたちとミニトマトを育てています。収穫したときに一度、豚汁にミニトマトを入れました。湯むきが大変なので、いつもは普通の大きなトマトを使っていますが、自分たちが育てた野菜だと「食べてみたい」という気持ちがより強くなると感じました。

ーオクラを下ゆでするのはなぜですか?

 軟らかく、色良く仕上がるように、切らずに丸ごと先にゆでます。カットしてから長く煮ると、ぬめりが出てきてしまいますので、ゆでてから切るようにします。軟らかくなりすぎると食感も悪くなるので、下ゆでしておいて最後に加えるのがおすすめです。ゆでることで水溶性のビタミンや食物繊維が溶け出してしまうのがもったいない、という人は、レンジで1分弱温めてもOKです。

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ー豚汁を作るとき、いつもは材料を炒めてから煮込んでいるのですが…。

 材料の野菜を炒めるか蒸すかは、7月の「ドライカレー」でもお伝えしたように、食べる子の「そしゃく力」に合わせるとよいと思います。炒めない方が野菜は軟らかく仕上がるので、かむ力の未発達な子にとっては食べやすくなります。

 味については、材料を全て炒めるバージョン、炒めないバージョンをそれぞれ作って食べてみると、違いがよく分かりますよ。炒めたものの方が、かんだときにその素材の味が濃く感じられ、油も加わるのでコクもあります。炒めない場合は、素材の味が汁に溶け出しているのか若干薄く感じると思います。

アレンジのヒント

 肉は、豚バラ肉を使うと、こくが出ておいしくなります。カロリーが気になる方、さっぱりと食べたい方には赤身の薄切り肉をおすすめします。

 入れる野菜は、ナス、モロヘイヤ、ズッキーニなどもおすすめです。

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 ナスは、そのまま煮てもよし、炒めてもよし。素揚げして最後に加えると色も鮮やかに仕上がります。皮をむいてある方が、小さな子はよく食べます。トマトと同じで、嫌がる様子がなければむく手間は必要ありません。

 モロヘイヤは、ゆでずにカットしてそのまま入れても、ゆでてカットしてから最後に加えてもOK。ズッキーニは、いちょう切りにして炒めてから入れるとおいしいですよ。

 おわんによそったあと、お好みでショウガのすりおろしや、今の季節ならではの大葉やミョウガを千切りにして入れても香りよく食べられます。

 おみそ汁は、だし汁とみそがあれば、旬のもの、好きなもの、食べたいものを入れておいしく食べることができます。いろいろな食材をたくさんとって、夏バテしない元気な体をつくりましょう。ぜひ、色鮮やかな食材を目で楽しみ、香りを感じ、それぞれの食感を楽しんで、ゆったりとした気分で食事の時間をすごしてください。

管理栄養士・中村えみ子さん

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 1969年生まれ。川崎市にある「みんなのほいくえん at むさしこすぎ」の管理栄養士。大学病院などで栄養士として勤務後、子育てを経て、保育園の管理栄養士として復職。素材のよさを最大限に生かしたいと、同僚栄養士が驚くほど丁寧な下ごしらえを心がけている。アレルギーに配慮した給食に力を入れるのは、「みんなで同じものを食べれば、子どももうれしいし、保育士・調理師・栄養士の負担も減るし、食べ間違いのリスクも減らせるから」。

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  • なっちゃん says:

    0歳児の子育て中です。一品でもお肉、野菜がたくさん摂取できて家でも作ってみたくなりました。ポイントも詳しく書いてあり参考になりました。

    なっちゃん 女性 30代

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