〈保育園給食の人気レシピ〉米粉ピザ 好きな具をのせて、楽しくワイワイ 発酵いらずで簡単

 本格的に寒くなってきました。クリスマスや年末年始は、気の置けない友人や久しぶりに会う親族と過ごす機会も多いでしょう。集まった人と一緒に思いつくまま、いろいろな具をのせて、楽しく作ってワイワイ食べて―。心も体もあたたかくなれる「米粉ピザ」は、この季節にぴったりのごちそうです。かみ切りやすい生地なので、小さい子にとっては前歯でしっかりかみちぎる練習にもなります。先月紹介した「ささみのコーンフライ」で使った米粉が余っているという方も、ぜひ挑戦してみてください。発酵いらずなので、短時間で仕上がるのもありがたい一品です。

※紹介するのは、保育園で<1~2歳の子ども10人分>として作っている分量で、目安としては、<大人2人+よく食べる小学生くらいの子ども2人>が満足できるくらいの量です。家庭でも作りやすい分量ですが、ご家族の人数や食欲に合わせて、半量や1.5倍量にして作ってみてください。卵・小麦アレルギーのあるお子さんも食べられます。乳アレルギーがある場合は、チーズの代わりに豆乳からできた「ソイチーズ」を使うと同じように作ることができます。

材料(子ども10人分)

  • 米粉 200g(2カップ)
  • 片栗粉 40g(大さじ4強)
  • 絹豆腐 230g(2/3丁)
  • 砂糖 5g (小さじ1と1/2)
  • 塩 2g(小さじ1/2弱)
  • ベーキングパウダー 10g(小さじ2と1/2)
  • サラダ油 15g(大さじ1と1/3)
  • ケチャップ 50g(大さじ3)
  • タマネギ 100g(1/2個)
  • ピーマン 30g(1個)
  • コーン缶 30g(大さじ2)
  • ウインナー 40g(3~4本)
  • ツナ 40g(大さじ2)
  • チーズ 50g(大さじ6)

※かっこ内は目安です

作り方

1. オーブンを230℃に予熱しておく。

2. タマネギは縦半分に切ったものを使う。横半分にカットしてから薄切りにし、蒸し煮しておく(かむ力のある子は生のままでOK)。

3. ピーマンも長さ2cmくらいの薄切りにする(必要があれば蒸したり、炒めたりしておく)。

4. ウインナーは食べやすい大きさにカットしておく。

5. ボウルに米粉、片栗粉、豆腐、砂糖、塩、サラダ油、ベーキングパウダーを入れ、よく混ぜる。

6. 生地がまとまってきたら、オーブンシートの上におき、上からもオーブンシートをかぶせて麺棒などでのばす(上からもシートをかぶせるのは、軟らかい生地が麺棒に貼りついてしまうのを防ぐため)

7. ケチャップを塗り、タマネギ、ツナ、コーン、ウインナー、ピーマン、チーズをのせる。

8. オーブンの余熱が完了したら、(7)を入れて10分ほど焼く(厚さや量により、温度や時間を調整する)

9. 焼けたら取り出し、食べやすい大きさにカットして皿に盛り付ける。

子どもが食べやすいポイント

 かみ切りやすい生地を目指しました。米粉だけよりも片栗粉を混ぜた方が歯切れが良く、もちもちし過ぎないため食べやすく仕上がります。出来上がりの生地は軟らかめですが、お好みで米粉だけにしても構いません。

 1~2歳の子どもたちにとって、「前歯でしっかりかみちぎること」は慣れるまでは難しいもの。園では、大人が子どもたちの目の前でかみちぎるまねをしてみせ、声をかけて練習しながら食べます。

 食べない子には、ひと口サイズにカットして盛り付けます。自分では食べたくない様子が見られる子でも、小さくしておくと手が出るようになります。おにぎりでも、魚や肉などでも同じです。手でつかんでもよし。フォークで刺したり、スプーンに載せたりしておくと、自分で食べよう!という気持ちが生まれやすいようです。

―生地が軟らかすぎるような気がするのですが…。

 米粉によって吸収する水分量が違い、加える豆腐によっても水分量が変わります。生地が手でまとめられないほど軟らかければ米粉を加えます。硬ければ、豆腐または水を加えて硬さを調整してください。

 米粉に豆腐を加えることで、生地がふんわりと仕上がります。日本にもともとあるものだからでしょうか、米粉と豆腐の相性はとても良いように感じます。

―生地の厚さの目安はありますか?

 園では1人分50gくらい(全量の1/10ほど)に分けて取り、大人が手のひらを広げたくらいの大きさにのばしています。園はお皿の直径が15cmなので、生地の直径は14cmくらい、厚さは3~4mmです。薄い方がかみやすいので、これ以上のばすと生地が切れてしまいそう、というところまでのばしています。子どもたちには1人に1枚お皿に載せて出し、「がぶっとかみ切って!」と応援しています。

 家では、オーブンの天板に合わせて四角くのばし、後からカットしてもよいですね。一度にたくさん焼く場合は、庫内の温度が冷えやすいため、少し焼く時間を長めにして15分前後で様子を見てください。

アレンジのヒント

 ピザの楽しみは、何といってもお好みの具をのせられるところ。ツナにしらすを合わせたり、焼きのりをパラパラと散らしたり。パイナップルや薄いお餅をのせても変化が楽しめます。

 ほぼ同じ材料で作れる「ミニパン」もおすすめです。油は使わず、砂糖も少なく、手もベタつくことなく、手軽につまめるおやつです。ベーコンや枝豆、コーンなどを入れて、いろいろな味を楽しめるプチパーティー風にしてもいいですね。

ミニパン(ごま&チーズ)

  • 米粉 140g
  • 片栗粉 30g
  • 絹豆腐 220g
  • 砂糖 8g
  • ベーキングパウダー 8g
  • 塩 1.5g
  • ごま 5g
  • 粉チーズ 5g

1. オーブンは180℃に予熱し、天板にオーブンシートを敷いておく。

2. ごまと粉チーズ以外の材料を全て、ボウルでよく混ぜ合わせる。

3. 生地を2つに分け、一方にはごまを、もう一方には粉チーズを加えて混ぜ合わせる。

4. 手では丸められない軟らかさなので、小さめのスプーンを2つ使用し、天板にスプーンで落としていく。

5. 15分ほど焼いて出来上がり。

管理栄養士・中村えみ子さん

 1969年生まれ。川崎市にある「みんなのほいくえん at むさしこすぎ」の管理栄養士。大学病院などで栄養士として勤務後、子育てを経て、保育園の管理栄養士として復職。素材のよさを最大限に生かしたいと、同僚栄養士が驚くほど丁寧な下ごしらえを心がけている。アレルギーに配慮した給食に力を入れるのは、「みんなで同じものを食べれば、子どももうれしいし、保育士・調理師・栄養士の負担も減るし、食べ間違いのリスクも減らせるから」。