保育所運営費の不正受給問題 コスモズに東京都と小金井市が初の指導検査 本部への不適切な還流がなかったか調査へ
弾力運用は都との協議書が前提
コスモズによる補助金不正受給が指摘されてから、同社施設に指導検査が入るのは初めて。3日午前10時、東京都と小金井市の担当職員7、8人ほどが第十コスモ保育園に入った。
保育士の人件費など各園の運営に必要な資金は、区市町村が運営事業者に支払う委託費で賄われる。本部経費への流用は「委託費の弾力運用」として、都との協議書を交わしたうえで、一定額が認められている。
創業者に約3億円の退職金案も
ただ、「設置者の運営に問題がないこと」が条件。コスモズ側の不正受給分の弁済についての協議が遅れており、小金井市は「(条件を)満たしているとは判断できない」との文書を同社に送り、市のホームページに「委託費の経理等に関する厚生労働省通知の順守についても併せて要請した」と公表していた。
コスモズ関係者によれば、5月末に退任した創業者の佐野浩代表取締役理事長(80)に対し、約2億9500万円の退職慰労金を支給する案が7月の臨時株主総会で議決され、取締役会で対応を協議している。
本来は人件費 本部経費への流用が構造的問題に
経営者は高額報酬 保育士の給料と乖離
-今回の検査をどうみる。
そもそも保育園の運営委託費は8、9割が人件費で本来は使い切る性格のもの。2000年の規制緩和以降、保育園のために使われるべきお金が他に流用されている例が目立ち、構造問題になってきています。東京都への情報開示請求では、コスモズでは年間1億円超が本部経費に流用されているのが実態。検査で都との協議額を超えていると指摘されれば問題はさらに深刻になる。
-昨年度、前代表の佐野浩氏は約3300万円もの役員報酬を得た一方、第十コスモ保育園の保育士の人件費平均は年355万円程度だった。
経営者だけが高額な役員報酬を得て、現場の保育士の給料との乖離(かいり)が大きいのは問題。委託費は税金が原資。保育士の人件費や子どものための費用を削らないと役員報酬や高額退職金は捻出できない。
-今後は。
コスモズは代表権が保育士出身で妻の秀穂さんに移り、新体制になった。子どもたちのためにお金が使われるようガバナンス(企業統治)を発揮できるか注目している。
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