保育所運営費の不正受給問題 コスモズに東京都と小金井市が初の指導検査 本部への不適切な還流がなかったか調査へ

花井勝規、梅野光春 (2023年8月4日付 東京新聞朝刊)
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検査に入る東京都職員ら=3日、東京都小金井市の第十コスモ保育園で

 東京都と小金井市は3日、都内で認可保育所など22園を展開する「コスモズ」(小金井市)が運営する第十コスモ保育園(小金井市)に合同で指導検査に入った。同園からコスモズに、保育所の運営費を不適切に還流させていないかなどを調べたとみられる。コスモズは、小金井市や杉並区など1区4市から計1億円超の補助金を不正受給した疑いも持たれている。

弾力運用は都との協議書が前提

 コスモズによる補助金不正受給が指摘されてから、同社施設に指導検査が入るのは初めて。3日午前10時、東京都と小金井市の担当職員7、8人ほどが第十コスモ保育園に入った。

 保育士の人件費など各園の運営に必要な資金は、区市町村が運営事業者に支払う委託費で賄われる。本部経費への流用は「委託費の弾力運用」として、都との協議書を交わしたうえで、一定額が認められている。

創業者に約3億円の退職金案も

 ただ、「設置者の運営に問題がないこと」が条件。コスモズ側の不正受給分の弁済についての協議が遅れており、小金井市は「(条件を)満たしているとは判断できない」との文書を同社に送り、市のホームページに「委託費の経理等に関する厚生労働省通知の順守についても併せて要請した」と公表していた。

 コスモズ関係者によれば、5月末に退任した創業者の佐野浩代表取締役理事長(80)に対し、約2億9500万円の退職慰労金を支給する案が7月の臨時株主総会で議決され、取締役会で対応を協議している。

写真

東京都職員らの立ち入り検査のあった第十コスモ保育園

本来は人件費 本部経費への流用が構造的問題に

 委託費の弾力運用など保育園問題に詳しいジャーナリスト小林美希さん=写真=に話を聞いた。

写真 ジャーナリストの小林美希さん

経営者は高額報酬 保育士の給料と乖離

-今回の検査をどうみる。

 そもそも保育園の運営委託費は8、9割が人件費で本来は使い切る性格のもの。2000年の規制緩和以降、保育園のために使われるべきお金が他に流用されている例が目立ち、構造問題になってきています。東京都への情報開示請求では、コスモズでは年間1億円超が本部経費に流用されているのが実態。検査で都との協議額を超えていると指摘されれば問題はさらに深刻になる。

-昨年度、前代表の佐野浩氏は約3300万円もの役員報酬を得た一方、第十コスモ保育園の保育士の人件費平均は年355万円程度だった。

 経営者だけが高額な役員報酬を得て、現場の保育士の給料との乖離(かいり)が大きいのは問題。委託費は税金が原資。保育士の人件費や子どものための費用を削らないと役員報酬や高額退職金は捻出できない。

-今後は。

 コスモズは代表権が保育士出身で妻の秀穂さんに移り、新体制になった。子どもたちのためにお金が使われるようガバナンス(企業統治)を発揮できるか注目している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年8月4日

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  • 匿名希望 says:

    知り合いの保育園経営者が超大金持ちで、夫婦で海外移住。
    保育士さんは安月給で、経営者は大金持ち。
    補助金が、どこにどう使用されるかまでチェックは必須。

    匿名希望

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