6歳娘が友だちのいいなり 嫌だと言っていいと声をかけても…〈宮里暁美の子育て相談〉

(2023年12月19日付 東京新聞朝刊)

本人がどう思っているかつかめない

 お友達のいいなりになってばかりいる娘。嫌なことは嫌と言ってもいいんだよと声をかけますが反応がなく、本人がどう思っているのかつかめません。自己主張の強い3歳上の兄との違いにも戸惑っています。(40代母親、娘6歳)

イラスト・永須華枝

心配せず、親は「聞き役」に徹して

 嫌なことを嫌って言うってことが、そう簡単ではないことを、私もよく知っています。相手の言うことに「そうだね」と相づちを打ち「いいよ」と応じてしまう。後になって「あの時断っておけばよかったのになぁ」とぼやく。あなたも、これまでの人生の中で「嫌なことを嫌と言えなかった自分」を経験していて、だからこそ、お子さんが「いいなりになっている」ように見える姿が心配なのではないでしょうか。

 結論から言えば、「どうぞ、心配しないでください」です。なぜならば、お母さんの呼びかけに、お子さんは「反応しない」という形で「同意できない気持ち」を表しているからです。それは確かな「嫌!」のメッセージです。そのメッセージを、今は、どうぞ大事に受け止めてください。

 子どもさんが友達と過ごす時、実は一緒にいること自体を楽しくて居心地がいいと感じているかもしれません。そこで、もし嫌なことがあっても、お子さん自身の力で大半は解消できます。時に解消しきれずに「こんなことがあった」「嫌だった」と話してくれることがあります。その時は、ゆっくり聞いてあげてください。「嫌だなと思った気持ち」を聞いてもらうことで、気持ちが安らぎ、次はどうしようかと考える気持ちになってきます。

 ここでも、気をつけなくてはならないことがあります。親は「聞き役」に徹することです。人生の先輩として「そういう時はこうすればいい」とアドバイスしたくなる気持ちをグッと抑えてください。「だから言ったでしょ!」は禁句です。「話してくれてありがとう!」と言ってギュッと抱きしめてあげてください。「何か手伝えることある?」と聞いてみるのもいいですね。たぶん「大丈夫!」という答えが返ってくるはずです。子どもの人生は、子ども自身のもの。私たちは、よき応援団でありたいものです。

 (文京区立お茶の水女子大学こども園・前園長、お茶の水女子大学特任教授)