料理コラムニスト 山本ゆりさん 3人の子育て お総菜や具なしラーメンに頼って「いいかげん」を

熊崎未奈 (2024年10月27日付 東京新聞朝刊)

山本ゆりさん(橋場翔一撮影)

 

理想通りの子育てではないけれど

 夫と中学1年の長女、小学3年の次女、4歳の長男と暮らしています。

 長女が生まれる前は、「子どもを否定しない」とか「ちゃんと目を見て聞く」みたいな、こういう子育てをしたいというのがあったんですけど、実際は全く理想通りにいっていません。すぐ怒ってしまうし、「片付けないと全部捨てるで」とか「勉強しなさい」とか、言ったらあかんと分かっていることを言ってしまう。感情的になりすぎたときは謝るようにして、いいところはたくさん褒め、大好きという気持ちはできるだけ伝えるようにしています。

 子どもたちは食べ物の好き嫌いが多くて。食育も全然できてないんです。本当に理想通りにいきません。でも、それが分かって良かったと思っています。子どもが喜ぶと考えたレシピでも、食べない子は食べない。ブログや料理本の読者さんには子育て中の方も多いので、うまくいかないこともありますよね、お気持ち分かります、という思いを伝えるようにしています。

 料理の仕事をしていますが、家ではお総菜とかめっちゃ使います。具なしのインスタントラーメンとか、適当なごはんも作ります。無理なときは頑張らなくていいと思っています。親がいつも品数豊富で手の込んだ料理を作っていると、子どももそれが普通だと思って、将来自分もそうしないといけないと思ったり、外での食事に不満が出たりすると困る。そういう意味でも「いいかげん」のベースを親が作るのもいいのかなって思ってます。

料理はやりたいと言い出してから

 長女が小さい頃は夫の仕事が忙しく、帰りも遅かったので、基本的に家のことは私がやっていました。いっぱいいっぱいになって、仕事をこのまま続けられるか悩んだときもありました。でも、いつからか、子どもたちが私がテレビに出るのを喜んでくれたり、応援してくれたりするようになって。続けてよかったと思ってます。今は夫にかなり頼っていますし、実家の母や友人にも助けられています。

 子どもと料理をすることもたまにありますが、3人ともあまり興味がなくて。長女が保育園の頃は友達を招いてお菓子を作るとか、教えようとしたこともありましたが、料理も好き嫌いがあるよなと。外遊びやゲームの方がずっと好きだし、料理はやりたいと言ったらやらせたらいいかなと思っています。

 まだ全然子育てが終わっていないので、何がいいのか悪いのか、いつも迷いながら、行き当たりばったりです。育てているというより、自分とは違う人間と一つ屋根の下で住んでいるという感覚です。でも、子どもたちは私のことを好きでいてくれる、ありがたく、かわいい存在です。最終的にここがあるから大丈夫って思える家族だったらいいなと思っています。

山本ゆり(やまもと・ゆり)

 1986年、大阪府生まれ。大学時代からレシピをブログで紹介し、広告代理店勤務を経て、2011年に料理本「syunkonカフェごはん」(宝島社)を出版。身近な材料で作れるレシピが人気を集めてシリーズ化され、累計発行数は780万部を超える。今年8月、「syunkonカフェごはん8 読むとやる気が出る簡単絶品レシピ」(同)を出版。