女性議員、平成の30年間でどのくらい増えた? 関東の31市区議会を調査 「育児の壁」はまだ高く
珍しい育児と議会活動の両立支援制度
研修会や議員連盟の会議に子どもを同伴、視察時に自費で子どもやベビーシッターと宿泊、議会内に託児室設置-。東京・足立区議会は昨秋、全国的にも珍しい、育児と議会活動の両立支援制度をつくった。
「まだまだ気が付かないことはいっぱいある」と話すのは、「議会制度のあり方検討会」の座長で、今期で区議を引退する藤沼壮次さん(67)。支援制度をつくったのは、子どもの預け先に困った女性議員の訴えがきっかけだった。新設された託児室を利用した女性議員は「他の議会にも広まれば」と期待を寄せる。
水戸市議会は28人中女性は3人だけ
アンケート結果によると、31市区の女性議員の平均構成比は23.6%で、30年前(9.3%)からは2.5倍になっている。ほぼ全市区で、30年前より女性議員の構成比は増えているものの、都外は相模原市を除き1割台にとどまった。
中でも水戸市議会は定数28に対し、女性は3人。その一人に聞くと「水戸はずっと地元に住む人が多いためか、昔ながらの男性社会が残っていると感じる」と胸中を明かす。市議として女性からよく相談を受けるといい「暮らしに根差した視点を市政に生かすためにも、議席の半数を女性で占めたい」と願う。
議員や傍聴者向け託児室は4市区のみ
逆に区部では文京など7区で3割を超えるなど、女性議員の増加傾向が強かった。今期は18区で女性議員が議長や副議長を務めるケースも見られた。市では2カ所にとどまった。
一方、出産や育児中の議員が活動しやすい環境整備の遅れも、アンケートでは顕著だ。全国市議会議長会の標準会則改正(2015年)もあり、議員の欠席理由に出産を明記しているとの回答は24市区からあった。ただ、議員や傍聴者の託児室があるのは4市区にとどまる。
昨年成立した政治分野の男女共同参画推進法で、女性の議会進出に追い風も吹きそうだ。女性議員を増やす活動を続ける元文部相の赤松良子さん(89)は「国政に比べ注目されにくいが、女性に身近な分野が多い市町村で、女性議員を増やすよう関心を払うべきだ」と話している。