「子どもは無料」秋葉原のラーメン店 3月末まで持ち帰りチャーハンを提供 休校中の小学生家庭をサポート
浅田晃弘 (2020年3月22日付 東京新聞朝刊)
東京・秋葉原地区に「子どもは無料」のラーメン店がある。都心回帰で共働きの家庭が増えた街で子どもたちの「孤食」をなくしたいと3年前に始め、現在は月平均で400人ほどが利用する。新型コロナウイルス対策による休校で給食がなくなった今月は、持ち帰りチャーハンを無料で提供し、食事の準備に追われる親らをサポートしている。
「麺屋のろし」小6まで全品無料
JR秋葉原駅から浅草橋方面へ徒歩8分。「子ども食堂」と書かれた大きな看板がある「麺屋のろし」に、常連客の近所の会社員、米山まどかさん(39)がチャーハンをもらいに来ていた。「小学校が休校になり、昼に職場から家に戻って子どものご飯を作っている。こういうサービスはうれしい」
函館の人気ラーメン店が初めてのれん分けして2014年に開店した。2017年から、小学6年生までなら営業時間中いつでもラーメン、チャーハンなどのメニューを全品無料で出すようにした。
孤食をなくそう 約40社が協賛
周辺に増えた高層マンションの住民は共働きが多い。店舗運営会社の当時の代表が「一人でご飯を食べている子どもたちも少なくないのではないか」と思ったのが、取り組みのきっかけ。費用は協賛金でまかなう。スポンサーには現在、不動産や広告制作などのベンチャー企業中心に約40社が名を連ねる。
スタート時は、子ども食堂の呼び名も一般には知られていなかった。「無料」が警戒されたのか、利用は伸びなかった。店員が児童館などに出向いては、ラーメン作り教室などのイベントを開き、地域への浸透を図った。2018年には千代田区と、子どもの見守りについての協定を結んだ。
「いただきます」の大切さも伝える
店長の河尻崇伸さん(31)は「子どもが一人で来ても安心できる雰囲気を心掛けている。『いただきます』『ごちそうさま』を言うことの大切さも話す。貧困対策というよりは『食』を通じた交流の場」と言う。運営会社「COLORS」広報の須貝真二さんは「子ども食堂の新たなモデルケースとなりたい」と話す。
持ち帰りチャーハンの無料提供は3月末まで。問い合わせは、麺屋のろし=電話03(5829)4822=へ。