砧公園が「インクルーシブ公園」に 障害ある子も一緒に遊べる遊具 設置を願った龍円都議が見た「夢に描いた光景」
「スペシャルニーズのある子」が次々に
体を支える力が弱い子も楽しめるよう背もたれやベルトの付いたブランコ、通路が広くて歩行器や車いすに乗ったまま遊べる迷路や複合遊具。にぎやかな場所が苦手な子が落ち着いて休める切り株型のシェルター。みんなのひろばには、どの子も楽しく遊べる遊具が設置され、好天に恵まれた24日にお披露目された。
新型コロナウイルス感染症が広がる中、障害のある子はとりわけ外出しにくい状況にある。それでもこの日は、医療的ケアを受けている子や車いすの子、ダウン症の子など「スペシャルニーズのある子」(龍円さん)が何人も来ていたという。
「歩行器で遊べる公園なんて、夢のよう」
龍円さんも息子ニコちゃん(6つ)と足を運んだ。公園でニコちゃんが一番興奮したのはブランコ。ダウン症のあるニコちゃんは体幹が弱く、一般的なブランコだと落ちてしまいそうになる。「ブランコは結構、危険。だからいつもはちょっと揺らすだけになる」。ニコちゃんがいつ落ちてもキャッチできるように、ブランコの脇に中腰で構えているという。
でも、みんなのひろばのブランコはニコちゃんの体をしっかり支えてくれて、安心して一人で乗せることができた。「ブランコに乗ったニコの姿を初めて写真で撮れました。記念日です」
神奈川県葉山町から遊びに来た川本すみれちゃん(5つ)もダウン症があり、まだ自分で上手に歩けない。この日は歩行器を使いながら、幅の広いスロープを一生懸命のぼったり、いろいろな遊具を次々に試していた。母親の久里子さんは「歩行器で歩き、遊べる公園なんて夢のようでした。娘がはしゃいでいる姿が見られてうれしかった。いろんな配慮が、優しいなと感動しました」。地元にもこんな公園があったら、と強く思ったという。
「障害がある子のため?」聞かれた母親は…
龍円さんはこの日、夢に描いていた光景を目にした。
ブランコの列に並んで順番を待っているニコちゃんの前に、同い年くらいの女の子がいた。脳性まひがあるのか、松葉つえを使っていた。ブランコが動きだした瞬間、その子は目を輝かせ、「うわあ」「きゃー」と大きな声で笑いながらうれしそうな表情を浮かべた。
「ブランコに生まれて初めて乗ったかのように喜んでいました。それだけでも感動だったけれど」
近くで様子を見ていた男の子が「このブランコは障害がある子のためなの?」と母親に尋ねた。「ここはどんな子もみんなが一緒に遊べる公園だから、みんながブランコに乗れるんだよ」。母親はこう答えたという。
障害のある子も、ない子もいろんな子どもが一緒に遊ぶ中で、共に生きる心が育ってほしい―。3年前の都議選で、インクルーシブ公園の実現を公約に掲げて当選した龍円さん。男の子と母親の会話を聞いて「まさにそんな会話が生まれる公園になってほしいと願っていたので、うれしくてうれしくて。うるうるしました」と話した。
都内では2020年度中に都立府中の森公園(府中市)がインクルーシブ公園として生まれ変わるほか、渋谷区と豊島区でも整備が進んでいる。品川区も今後動きだすという。子どもたちが柔らかな心で「インクルーシブ」を実感できる場が広がり始めている。
コメント