「いろんな人がいる」を知るために… 幼児期から大切な障害理解教育 保育・教育施設の65%が実施せず

五十住和樹 (2019年2月26日付 東京新聞朝刊)
 保育所や幼稚園などに障害児の入園が増える一方、保育・幼児教育施設の65.2%で障害を理解させる教育をしていない実態が、東洋大ライフデザイン学部の南野奈津子教授(45)らの調査で分かった。「必要がない」「やり方が分からない」など消極的な声が目立ち、現場の意識は高まっていない。専門家は「幼児期から障害への理解を深めることで、いろんな人が世の中にいることを知り、子どもたちの価値観が多様化する素地となる」と必要性を話す。
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やらない理由「方法がわからない」「必要ない」

 調査は昨年7月、関東の1都6県の保育所、幼稚園、こども園計2000施設を対象に実施。465施設から回答があった。

 障害理解教育をしているのは160施設(34.4%)で、未実施は303施設(65.2%)。実施しない理由(複数回答あり)は「やり方が分からない」(46.9%)、「人手が足りない」(24.1%)、「必要がない」(21.8%)、「時間がない」(15.5%)の順だった。

写真 南野奈津子教授

調査を行った南野奈津子教授

方法は、読み聞かせや紙芝居、ふれあい…

 一方、実施した施設に効果や具体的な方法を聞くと「(障害がテーマの)絵本の読み聞かせ」(38.1%)、「障害者とのふれあい」(24.4%)、「紙芝居」(11.9%)、「アイマスクなどの障害体験」(5%)の順で多い。ただ、絵本の読み聞かせをした施設の大半が年に1、2回にとどまる。読み聞かせに使った絵本は、生まれつき右手の指がない障害を受け入れて生きる少女を描いた「さっちゃんのまほうのて」(たばたせいいち著、偕成社)が圧倒的に多かった。

 障害児保育を行う施設は増えている。今回の調査では全体の80.6%が知的・発達障害児を受け入れていると回答。聴覚障害児は21.3%、視覚障害児は13.3%、肢体が不自由な子は28%だった。

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