〈坂本美雨さんの子育て日記〉39・「あそべないの、コロナだから~」 誘いを断った後、娘は泣き崩れた
ステイホーム生活、母子とも少し不安定かも
保育園に行かなくなって数週間。園での生活リズムもすっかり消え、昼寝をしなくなったが、先日はケンカして私がフテ寝、彼女も泣きながらくっついてきて寝た。そんな日も、ある。原因は、私との約束を忘れて上の階に住む子と遊びに行ってしまったから。そんな些細(ささい)なことだが、私もステイホーム生活ですこし不安定だったかもしれない。
最近の娘は同じマンションの子たちと庭で遊ぶのが日課になっており、「あそぼー!」と迎えにきてくれるのが昔ながらで良いなと思いつつ、その誘いに対する執着がとても強くなり、大慌てで飛び出していくさまに、やはり友達が恋しいのだなと胸が痛む。
〈前回はこちら〉子どもたちにならって、この状況を乗り越えたい
このコロナデイズ。私たちは毎日小さな判断を積み重ねて暮らしている。今は変化していく状況を見ながら、子どもに関しても例えば人が少ない時間帯の公園はOK、など個人的なルールを定めているけれど、初期の頃にはなんでも漠然と怖い時もあった。
娘自ら伝えたことに驚き、抱き合って泣いた
ある日娘が友達と「あとで公園にいこ!」と約束をしてきたが、その時私は家庭によって価値観の違いがあることに疲れていたため、さまざまな人が集う公園が不安になっていた。そのことを娘に説明すると神妙な面持ちで素直にうなずいてくれた。
そこへ、お友達が彼女を迎えにきた。私が説明しなきゃな…と思った途端、娘がガラッとベランダの扉を開け「ごめんねーー! ○○ちゃん、あそべないの、コロナウイルスだからー!」と自分でしっかりと言い放ち、扉を閉め、それから泣き崩れた。彼女が自分の意思で伝えたことにびっくりして、抱き合って一緒にわんわん泣いた。こんな小さな子どもが当たり前のことを我慢しなきゃいけない世界なんだと初めて迫ってきて、猛烈に悔しさが込み上げた。
子どもも大人も、みんな傷ついているからこそ
コロナによる生活や仕事の変化には冷静に対処していたし、もっと大変な人が周りにもいるんだから…と思っていた。娘もちゃんと説明すればなんでもわかってくれた。それでも、娘と一緒に声を出して泣いた時、彼女も自分も傷ついていると知った。命をかけてきた自分の仕事ができないこと、大好きな友達に会えないこと、目に入る死亡者数、人との価値観のズレ…子どもも大人も、みんなたくさん傷ついているのだ。まずはそのことを認めて、解放して、それからできることを日々考えよう。我慢することばかりじゃない、こんな時だからこそ触れられる愛がたくさんあることを感じながら。 (ミュージシャン)
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