子育ての先輩にオンライン相談できる「プライベート児童館」 蕨市のサロンと京大が交流の場を企画
モールの一角 NPOスタッフとZoomでつながる
「新1年生なのに、学童保育からのスタートで大丈夫かなと思って」。5月中旬、子連れでサロンを訪れた川口市の母親が、壁面に向かって話し掛けた。壁には、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」でつながった在宅の女性スタッフが映し出されている。スタッフが「学童でも日々、子どもは成長するので大丈夫」と声を掛けると、母親はほっとした表情になり、上の子の反抗期についても話し始めた。
サロンは、NPO法人「ほっこり〜の」(本店・東京都北区)が3月に開設。ショッピングモール内の一角、じゅうたん敷きのスペースに、おもちゃやセルフサービスのコーヒーも用意した。親子で靴を脱いでくつろげる場になるはずだったのが、新型コロナの影響で4月から休業せざるを得なくなった。
外出自粛で「誰かと話したい」 切実な声に応える
代表の内海千津子さん(49)には産後うつのようになり苦しんだ経験があり、母親の居場所の必要性を強く感じてきた。サロン休業後も、電話相談には、外出自粛で子どもと閉じこもる生活に疲れ「誰かと話したい」という切実な声が届く。
なんとかしたいと思っていたところ、京都大学学術情報メディアセンターの小山田耕二教授から、子育て支援と感染予防を両立する策として無人の児童館の提案を受け、実現させた。小山田教授は人工知能(AI)を利用した子育て支援を研究しており、以前からほっこり〜のと連携している。
例年はママ同士が交流する時期 「息抜きに来て」
本来、4月は新米ママが児童館などに集まりだし、交流が始まる時期だが、今年はそれがかなわない。蕨店の清水真由美店長(55)は「隣のスーパーで買い物するついでに、息抜きの場所として気軽に来てほしい」と呼び掛けている。
利用時間は、午前10時半、11時半、午後0時半からの1時間ずつ計3枠。蕨店のサイトから予約できるほか、空いていれば直接立ち寄って話し掛けることもできる。1度の入店は2組までで、費用は無料。日曜、祝日休店。6月中旬ごろまで続ける予定。