児童書「迷惑生物図鑑」異例の大ヒット ”カサうしろに振るやつ絶滅しろ!”…わが身を振り返るきっかけにも
嫌な気持ちで終わらず、面白いものに
傘を後ろに振りながら歩く人を、大きな翼を持つ恐竜アンハングエラになぞらえた「カサウシロフルス」や、順番待ちの行列に横からしれっと割り込んで入るナウマンゾウならぬ「ナラバンゾウ」など、迷惑生物図鑑は49種類の創作生物を「絶滅希望種」として紹介している。いずれも、モデルにした生物の生態にちなんだり、名前をもじったりしたものだ。
氏田さんは、道端で傘を後ろ手に振る人に遭遇すると「危ない、嫌だなぁと思っていたが、嫌な気持ちだけで終わるのではなく、何か面白いものにしたかった」と架空の生き物に例えた動機を語る。
ツイッターのイラスト投稿が4万RT
ちょうど元号が令和に変わったころ。迷惑な行動や古い考え方を過去のものにしたいという思いを込めて「絶滅してほしい生物図鑑」と名付け、昨年5月にツイッターにイラストを投稿したところ、4万件以上のリツイートがあった。
絶滅してほしい生物図鑑 pic.twitter.com/yAO8y93WOs
— 氏くん (@ujiqn) May 23, 2019
会員制交流サイト(SNS)を利用する若い世代だけではなく、小さな子どもや親の世代にも知ってもらおうと、書籍化を計画。氏田さんが所属するコンテンツ制作会社「チョコレイト」(東京)も企画に加わり、イラストはイラストレーター、武田侑大さん(26)が手掛けた。
一概に悪いと決め付けるのではなく
絶滅希望種のイラストの横には「今日の学び」と題して迷惑生物にならないためのヒントも掲載した。例えば、カサウシロフルスでは「カサも気持ちもまっすぐに」、ナラバンゾウでは「行列も、アトラクションだ」と記述。待ち時間も楽しもうと呼び掛けている。
「迷惑な行動もその人なりの事情があり、時代によって解釈が異なることもある。一概に悪いと決め付けるのではなく、どうしたら良くなるのか、考えられるようにしたかった」と氏田さん。「この本が自分自身を振り返るきっかけになったり、理不尽と闘う支えになったりしてくれたらうれしい」
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