子育てに「木育」広げたい 地元の木製品をおもちゃに 群馬で”ウッドスタート”宣言

渡辺隆治 (2020年12月29日付 東京新聞朝刊)

新生児に贈られる沼田てんぐつみき

 群馬県沼田市は子育てに地元産の木製品を活用する「ウッドスタート」を宣言した。子どものころから木製品に親しみを持ってもらう「木育」を推進して木材の消費を増やし、林業の振興や森林環境の整備に役立てる狙い。手始めとして、新生児に地元産の木のおもちゃを贈る「誕生祝い品贈呈」事業をスタートした。

東京おもちゃ美術館運営のNPOが推進

 ウッドスタートは東京おもちゃ美術館(東京都新宿区)を運営するNPO法人「芸術と遊び創造協会」が推進している活動。全国で50超の自治体が宣言し、誕生祝い品のほか、木育インストラクターの養成や移動型おもちゃ美術館の開催などに取り組んでいる。

 群馬では県が12月16日に宣言。みなかみ町と川場村、上野村も宣言済み。市域の約8割が森林の沼田市は1990年に「人と自然が真にふれあう理想のまち」を目指す「森林文化都市」を宣言。シンボルキャラクターの制定などさまざまな事業を展開してきた。

 市役所で12月24日に行われた調印式には、横山公一市長と東京おもちゃ美術館の馬場清副館長が出席。宣言に署名した後、新生児代表におもちゃを贈った。

新生児には「てんぐつみき」

 おもちゃは沼田市内の業者が製作した「沼田のてんぐつみき」。同市上発知町の迦葉(かしょう)山弥勒寺に伝わる天狗(てんぐ)伝説にちなみ、天狗の顔を題材にした。顔と鼻、首は同市利根町の約70年ものの杉、帽子は桑を使った。サイズの異なる5個で1組。

てんぐつみきを贈られた親子(前列)=沼田市役所で

 新生児に贈るのは「てんぐつみき」2組計10個と底板2枚、木箱、広げると積み木入れの巾着になるプレイマットで1セット。毎年度、250人程度の新生児が誕生しているため、2020年度は300セットを作製した。

 20年度の新生児代表として出席したのは藤倉穂菜美ちゃんと母晴美さん、吉沢春君と母明日香さん。明日香さんは「手触りがとても良いし、木の香りが気に入っているようです」と話した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年12月29日