脱ジェンダーおもちゃが社会意識も変える 女の子向け工具キット、男の子向けお世話人形

(2020年5月8日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 男の子が親しみやすいお世話人形や、女の子向けの工具おもちゃ…。「男の子向け」「女の子向け」という分類で販売されることの多いおもちゃ市場で、性別にとらわれない商品が登場している。背景には、個々の興味、関心を大切にしようという社会意識の高まりや、これからの社会で必要な力を遊びの中で育んでほしいという親の思いもあるようだ。 
写真

バンダイのお世話人形「ホルン」=同社提供 (C)Disney/Pixar

子どもたちに先入観はない 「お世話遊び」好きの男の子も

 バンダイが昨年発売したお世話人形「ホルン」は、男の子をモデルにしたことで話題になった。

 お世話人形は、子どもが親の立場になって世話をする「ごっこ遊び」で使う。これまでは女の子向けとして、女の子の人形が多かった。開発担当者の山本久美子さんは「お世話遊びが好きな男の子もいるということを感じていたので、男の子も手に取りやすい人形を開発した」と説明する。パッケージや広告にも男の子のモデルを起用した。

 山本さんは日頃、保育園などで子どもの遊びを観察し、興味、関心の傾向をつかもうとしている。「キラキラした飾りなど、一般的に女の子が好きとされているものを男の子も気に入って遊んでいる姿はよくある。子どもたちには先入観がない」といい、「最近は、親の方も男の子向き、女の子向きという分類にこだわらず、多様な遊びを取り入れる傾向が強まっている」とみている。

写真

人気キャラクターがデザインされた「トミカ」=タカラトミー提供 (C)TOMY (C)2019 SANRIO CO.,LTD.

キティちゃんのトミカ、プラレール 女の子ファンが広がる

 タカラトミーでは、男の子が手にすることの多かったミニカーの「トミカ」や、鉄道玩具の「プラレール」に「ハローキティ」などのキャラクターを用いた商品などを加え、「女の子にもファンが広がっている」という。

 CSR(企業の社会的責任)としても取り組んでいるといい、担当の長野紫穂さんは「ジェンダー(男女の役割についての固定観念)を含め、多様性を尊重するメッセージを子どもに伝えることがおもちゃに求められている」と話す。

 本年度から小学校では「プログラミング教育」が必修化。また、「科学」「技術」「工学」「芸術」「数学」の英語の頭文字をとった「STEAM教育」が、これからの社会に必要な創造的な能力を育むとして注目されている。そんな新たな教育の潮流を意識した商品も出ている。

写真

ピープルの「ねじハピ」は女の子向けでは少なかった工具系のおもちゃ=同社提供

女の子の可能性を広げる電動ドライバー、プログラミング

 ピープルが2018年に発売した「ねじハピ」は、女の子が電動ドライバーを使って箱を組み立てるおもちゃ。工具のおもちゃは従来、男の子向けとして販売されているものがほとんどだった。だが、女児玩具チームリーダーの上原麻里衣さんによると、女の子からも事前アンケートで「使ってみたい」という声は多く、発売後も「熱中している」と反響があった。

 プログラミングなどの理系要素を取り入れたおもちゃ「ハピエンス」も発売。上原さんは「女の子の可能性を広げられるおもちゃを提供したい」と話す。

 欧米で女児向けの理系玩具が広がった背景を分析した「女の子は本当にピンクが好きなのか」の著書があるライターの堀越英美さんによると、欧米では「女性は理系が苦手」「家事育児は女性の仕事」といったアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)をなくそうという意識から、多くのおもちゃ売り場から「男の子向け」「女の子向け」の表記が消えたという。堀越さんは「日本でも、おもちゃの選択肢が増えることで社会意識が変わるのでは」と期待している。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年5月8日

あなたへのおすすめ

PageTopへ