苦味と酸味、子どもは本能的に嫌います 味覚の育て方は? おいしく食べられるメニューは?
「腐っているかも」「毒かも」のサイン
味の基本は、甘味、塩味、うま味、酸味、苦味の5つ。主に、舌にある味蕾(みらい)が味を感知する。名古屋学芸大管理栄養学部准教授の高田尚美さんは「エネルギー源などとして生きるために必要な甘味、塩味、うま味は自然に好んで食べるが、酸味と苦味は学習が必要」と話す。
酢やかんきつ系の果物に代表される酸味は腐っているかも、野菜に多い苦味は毒かもしれないサインとして子どもは本能的に嫌う。無理に食べさせるのではなく、食卓に並べ、いろいろな味があるのが「望ましい食事の形」と伝えることが大事。「おいしいね」などと大人が好んで食べる姿を見せると、興味が湧き、食べる意欲につながる。
一口食べたら褒めて、いい思い出にする
食事のおいしさは、見た目や食感といった五感への刺激、体調、誰と食べるかなどにも左右される。手で野菜に触れてもらう、味付けや盛り付けを手伝ってもらうなど、食への関心をいろいろ刺激するといい。
偏った食習慣が身に付いてしまうと、変えるのは難しい。「酸味や苦味は回数を重ねるうちに慣れる」とフードアナリストのとけいじ千絵さん。「一度拒否したからといって出さないのはよくない。一口でも食べたら褒め、いい思い出に結びつけてほしい」と説く。
これなら食べやすい!お勧めレシピ
とけいじさんお勧めのレシピを2つ紹介する。苦手な味も甘味や脂肪分と組み合わせると食べやすい。ホウレンソウのポタージュは、苦味をバターや塩で弱め、タマネギなどの甘味を足す。切り身魚の南蛮は、加熱で酢の刺激臭を和らげる。素材の味を感じられるよう、どちらも薄味だ。
ホウレンソウのポタージュスープ 甘味足し食べやすく
【材料】(4人分)
タマネギ小1個、ジャガイモ1個、ホウレンソウ1束、バター10グラム、牛乳250ミリリットル、塩、粉チーズ各小さじ1
【作り方】
- タマネギとジャガイモは皮をむいて薄切りにし、ホウレンソウは適当に切る。
- 熱した鍋にバターを入れ、(1)を弱火でゆっくり炒める。
- 軟らかくなったら(2)をミキサーなどで攪拌(かくはん)し鍋に戻す。
- 牛乳と塩を鍋に入れ温めたら、器に移し、粉チーズをかける。
切り身魚の南蛮 加熱で酢を和らげる
【材料】(4人分)
タラなど魚の切り身4切れ、タマネギ薄切り1/2個、ニンジン千切り1/2本、A(だしまたは水1/2カップ、砂糖・しょうゆ・酒・酢各大さじ1と1/2)
【作り方】
- タラは軽く塩を振って水気を拭く。
- 耐熱皿にAをまぜ、野菜と魚を加えてからめる。
- ふんわりとラップして電子レンジ(600W)で2分半加熱。
- 15分ほど置いて冷ましながら味をなじませる。