ママ友は必要ない時代? 「いない」人が56% 親同士のつながりに変化、コロナで話す機会もなく…
保育園に通ったが「ママ友」はできず
「コロナ禍でゆっくり話す機会がなかったことが大きな理由だと思う」。東京都町田市で5歳の息子を保育園に通わせる女性(44)は、園などでママ友と呼べるような関係の人はいない。「何人か気の合う友人はできるかな、と思っていたので、予想外だった」
ただ、必要性もあまり感じていない。「ママ友の良さは、子育ての相談や情報交換ができることだと思うが、同じくらいの年の子がいる友人や子育て経験のある姉とLINEでつながっていて、すぐに相談できる」。夫も子育てに同じように関わっており、困った時には相談しあえるという。
2003年の調査では「いない」6.2%
第一生命経済研究所ライフデザイン研究部研究員の福澤涼子さん(34)は10月、リポート「もうママ友は必要ないのか」を公表した。コロナ禍での生活や意識の変化に関する同研究所の調査で、小学生以下の子を持つ親432人に「ママ友・パパ友」の有無を尋ねたところ、「いる」と回答した割合は44%にとどまり、残りの56%はいないことが分かった。
福澤さんは、第一生命経済研究所が2003年に実施した調査で、ゼロ~6歳の子を持つ母親631人のうち、ママ友がいないと答えた割合はわずか6.2%だったことに着目。「ママ友がいるのが当たり前だった状況は変わりつつある」と話す。
要因の一つはコロナによるコミュニケーションの減少とみられ、もともとのママ友関係が疎遠になった人も多かった。今回の調査で「ママ友・パパ友との付き合いは自分にとって必要だと感じる」と答えた人の割合は、ママ友・パパ友がいる人で65%、いない人では13%のみだった。
スマホで手軽に育児情報 SNSも利用
福澤さんは「ママ友の役割が他で代替され始めているのでは」と指摘。特に第一子出産後の乳幼児期は、寝かしつけや離乳食、病気など不安を感じる親が多いが、スマートフォンの普及で育児情報を手軽に得られるようになった。かつては出産後の行動が制約され、学生時代などの友人との関係が薄れる傾向にあったが、今は離れていてもSNSで交流できる。「近所のママ友でなくても、子どものいる旧友に相談することも多いのでは」
ママ友付き合いのトラブルがメディアで取り上げられたり、仕事を持つ母親が増えたりしていることで、「ストレスになるかもしれない人間関係に、限られた時間を割く必要はない、との本音も見える」という。
宿題など「超ローカル」情報には有益
一方、親たちへのインタビュー調査から、福澤さんは「ママ友の価値は今も小さくない」と話す。調査では、非常時に子どもを預けたり、保育園のお迎えを頼んだりといった「セーフティーネット」がある安心感をあげる人が多かった。また、就学後は子どもから学校の情報を得ることになるが、宿題や行事の持ち物といった「超ローカル」な情報の確認などで助かっている、という声もあった。
福澤さんも都内で4歳の娘の子育て中で「地域の親同士がつながり、子どものことを気に掛けている大人が増えるのは、子どもたちの安心にもなる」と感じている。「『友』という言葉にとらわれ過ぎず、子育ての大変な一時期を乗り越える互助関係と捉えては。その中で、価値観が合い、本当の友人と呼べるような存在も出てくるかもしれません」
コメント