ママ友との付き合い、悩んだらどうすれば? 精神科医からのアドバイス

(2022年4月8日付 東京新聞朝刊)

 入学やクラス替えなどで新しい友達ができたり、仲がいい友達と離れたり、子どもの交友関係が変わる4月。その関係は、ママ友付き合いにも影響する。ママ友は、困った時に助けてもらえる心強い存在である半面、家庭環境や価値観の違いなどから交流にストレスを感じる人も少なくない。専門家は「無理なく付き合える関係が大切」とアドバイスする。 

パーティーの準備、他の母親の悪口…

 岐阜市の女性(42)は、ママ友付き合いに苦労した一人。長女(13)が小学3~4年生の時だ。長女には仲のいい友達が7人いて、母親同士もLINE(ライン)でグループをつくり、連絡を取り合っていた。ハロウィーンパーティーやクリスマス会、お泊まり会を、それぞれの家で順に開いていたため「料理などの準備が大変だった」と振り返る。

 何より苦痛だったのは、自分たちのグループに入っていない母親の悪口を聞かされることだ。「貧乏くさい服を着ている」「あそこの夫婦は仲が悪い」…。自分や子どものことも陰で何か言われているのではないかと、疑心暗鬼になった。それでも「子ども同士の仲がいいから、仕方なく付き合っていた」。

家庭環境や価値観が違うから、難しい

 「精神科を受診する患者さんにも、ママ友付き合いで苦しんでいる人はとても多い。悩みを軽く見てはいけない」。そう話すのは、愛知医科大の精神科医・藤野智哉さん(30)だ。

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精神科医の藤野智哉さん

 一口に「ママ」と言っても、年齢や収入、働いているか専業主婦かなど家庭環境や価値観はそれぞれ異なる。にもかかわらず「子どものために」と思うと付き合わざるを得ないのが、ママ友の難しさという。例えば、金銭的に余裕がない中でランチに誘われた場合。本当は嫌なのに、子どもが取り残されることがないよう、行くしかなかった―といった経験をした人は少なくないだろう。

「10年後は?」自分を客観的に見る

 交流サイト(SNS)で、他のママ友たちが一緒に出掛けたり、集まったりしたという投稿を見て落ち込む場合もある。加えて、コロナ禍だ。「行動が制限され、大人同士の付き合いが近くのママ友だけという人も多い」と藤野さん。「自分を取り巻く世界が狭まる中、ストレスがたまるのは当然」

 ママ友との関係に悩んだ場合、藤野さんが勧めるのは「自分を客観的に見る」ことだ。例えば、10年後から見た「今」を意識してみる。ママ友付き合いが密なのは、子どもが小さいうちだけ。次第に、子ども同士で遊んだり、出掛けたりする機会が増える。長く続く関係ではないと理解できれば、無理をする必要はないことが分かる。その上で、誘われて応じるのは2回に1回、または3回に1回だけ―など、負担にならない付き合い方を探ればいい。

会話のストックを 夫の共感も大事 

 ママ友づくりが苦手な人もいるだろう。記者自身、娘が幼稚園に通っていたころは、お迎えの時間がつらかった。何を話せばいいか分からず、母親たちの輪の中に入れなかった。

 コミュニケーションのこつは、相手が共感してくれそうな話を自分からしてみることという。子育ての大変さや困っていること、テレビで紹介されていた情報でもいい。そうした材料を「ストック」としてためておくと会話が続きやすい。

 藤野さんは「妻がママ友関係で悩んでいる場合、夫は真剣に話を聞き、共感してほしい」と呼び掛ける。駄目なのは「嫌なら付き合わなければいい」などと突き放すことだ。それができないから、本人は悩んでいる。「解決策を示そうとするのではなく、どうすれば妻の気持ちが楽になるか。一緒に考える姿勢が大事」

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