ワンオペで孤立した親子の居場所に 「恵比寿じもと食堂」ついに100回

小形佳奈 (2022年3月22日付 東京新聞夕刊)
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弁当をほおばる子どもたちを見守る末岡真理子さん(左から3人目)=東京都渋谷区で

 世話焼きな「近所のおばちゃん」に自分がなればいい。身近に頼れる人がいない孤独な子育てを体験した女性が、6年前に東京・恵比寿で始めた「恵比寿じもと食堂」。家族ぐるみの食事会は、新型コロナウイルス下、活動の形を変えながら、このほど100回の節目を迎えた。

コロナ対策でお弁当を配るスタイルに

 「お久しぶりです」「大きくなったね」

 JR恵比寿駅東口から歩いて5分。渋谷区社会福祉協議会の交流施設「景丘(かげおか)の家」で3月9日、恵比寿じもと食堂が開かれた。主宰する末岡真理子さん(39)が豚カツやきんぴらを詰めた弁当箱を渡しながら、1人1人に声をかける。

弁当を手渡しながら利用者と笑顔で話す末岡真理子さん

 料金は大人500円、子どもは300円。普段はテーブルの上に料理を並べて大勢で食事を楽しむところを、まん延防止等重点措置が取られたため、弁当を配るやり方にした。末岡さんは「母子で来ていた利用者がお父さんの分も含めた弁当を買いに来る。コロナ禍が家族が集まっての食事の機会をつくっている」と変化を感じている。

 利用は2回目という会社員の上原景(けい)さん(35)は「品目が多いのがいい。子どもたちも喜んで食べてくれます」と話した。育児中の人たちが集まる「子育てシェアハウス」で一緒に暮らす仲間の分と合わせ、この日は6食分を買っていった。

「人が作ったご飯をゆっくり食べて…」

 実家が福島県の末岡さん。小学6年生の長女(12)が幼い頃、東京都内で子育てのほとんどを1人で担う「ワンオペ育児」の大変さを痛感した。夫は仕事で忙しく、近所に頼れる人もいなかった。同じような気持ちの人は多いだろうと子ども食堂をヒントに、子育て中の近所の人たちが付き合いを深める食堂のアイデアが浮かんだ。

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この日のメインは豚カツ。スタッフが手作りしている

 年齢制限はない。食堂を訪れた親子連れからは「赤ちゃんを抱っこしてもらっている間に人が作ったご飯をゆっくり食べられた、それで頑張れそうと思った」という声を何度も聞いた。泣く子を静かにさせようとする姿を見れば「家にいる時みたいでいいですよ」と伝える。窮屈な思いから少しでも解放してあげたい、という思いからだ。

あきる野市でも「じもと食堂」計画中

 月2回のペースで開催してきたが、コロナ禍で2020年2月から2021年3月まで、活動休止を余儀なくされた。再開後はテイクアウトを取り入れながら運営している。この春は、長女の中学入学を機に東京都あきる野市に引っ越した。恵比寿の活動を続けながら、あきる野市でも「じもと食堂」を始める計画を練っている。

 他人の生活に干渉しない風潮が強まった現代、母親の孤立や居場所に困る子どもの問題は都会に限った話ではない。「恵比寿で培ったコミュニティーづくりの経験を新しい土地で生かしたい」

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年3月22日

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