子宮頸がん9価ワクチンが4月から定期接種対象に どんな効果が? 副反応は?

植木創太 (2023年1月24日付 東京新聞朝刊)
 子宮頸(けい)がんなどを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)の「9価ワクチン」が4月から定期接種の対象に加わる。従来のワクチンより感染予防効果が高いとされ、小学6年~高校1年相当の女性は原則無料で接種できる。主な感染機会となる性交渉を初めて経験する前の接種が基本。専門医は「年齢やパートナーの有無といった個々の状況に応じて判断を」と呼びかける。

国内では3種類のワクチンを使用

 子宮頸がんは、子宮の粘膜から発生するがんで、9割以上がHPVに感染して発症する。HPV自体は200種類以上存在し、そのうち少なくとも15種類が細胞のがん化の要因になる。体内に侵入したウイルスは大半の場合、自然に排除されるが、1割程度で感染が続くことがあり、その中のごく一部が何年もかけてがんを引き起こす。

 横浜市立大病院産婦人科部長で日本産科婦人科学会の子宮頸がん検診・HPVワクチン普及推進特任理事の宮城悦子さん(60)によると、身を守る手だてとして定期検診とともに有効なのがワクチンで、国内では9価を含めて3種類が使用されている。

欧米で主流の9価 90%以上予防

 現在、定期接種の対象は2価と4価のワクチン。価数は何種類のタイプのウイルスに対応するかを示し、2価は「16型」と「18型」が標的だ。この2つは、がんにつながるHPV感染の60~70%を占める。4価はこのほかに、良性のいぼ「尖圭(せんけい)コンジローマ」の原因となる「6型」「11型」にも効果が望める。

4月に定期接種対象となる9価HPVワクチン「シルガード9」=MSD提供

 新しく加わる9価ワクチンは、この4種類に加えて5種類に対応。がん化する感染の90%以上を防ぐ。欧米では9価のワクチンが主流だ。国内では2021年2月から販売され、自費で接種することはできたが、基本の3回接種で10万円近い費用がかかっていた。

副反応の出現率は4価より高い

 国内外での治験データによると、HPVワクチンは、80%以上の確率で接種部位の痛み、腫れなどの副反応が現れる。9価は4価と比べて5%ほど出現確率が高い。昨年9月末までに国内で約12万回接種されたうち、重い副反応が疑われる事例は36件(0.03%)。治験では、他のワクチンと同様、アナフィラキシーなどのアレルギー症状や、手足に力が入らなくなる「ギラン・バレー症候群」などの報告がある。

 HPVワクチンを巡っては、2価、4価の定期接種が始まった2013年に接種後の体の痛みなどを訴える女性が相次ぎ、国が接種の積極的な呼びかけを中止。その後、国内外で安全性や有効性に関する研究が進み、昨年春に接種の呼びかけが再開された。呼びかけ中止中に定期接種の対象年齢になったが未接種の女性ら(1997~2007年度生まれ)も2025年3月まで、無料で接種できる。

20~30代の発症が増えている

 国のがん統計などによると、2019年に新たに子宮頸がんと診断されたのは1万879人。2020年には2887人が亡くなった。最近は、働き盛りや妊娠を考える時期に重なる20~30代での発症が増加傾向にある。性行動の低年齢化が要因と考えられており、発症のピークも30代後半に早まっている。

 HPVワクチンを接種するかどうかは、日本産婦人科学会のホームページや自治体の冊子を参考に、メリットとデメリットを比較して考えたい。2価や4価も効果が低いわけではなく、現時点では、9価が無料になるまで接種を待つかも悩みどころ。宮城さんは「親子で話すのも大事だが、できれば本人がしっかり仕組みを学び、自分の意思で打つ打たないを決めてほしい」と話す。