自転車の乗り方、子どもに教えるときのポイント 大切なのは「止まる練習」
大切なのは「ブレーキを使って止まる練習」
訪れたのは、東京都千代田区にある一般財団法人「日本交通安全教育普及協会」。子どもの自転車教室などで講師を務めている彦坂誠さん(55)に、安全に乗るためのポイントを聞くと、こう教えてくれた。「大切なのは、ブレーキを使ってきちんと止まれるようになることです」
当たり前のことのように思えるが、子どもはブレーキの操作がおぼつかなかったり、握る力が弱かったりして、案外止まれないもの。息子も人や車にぶつかりそうになったとき、すぐに止まれるかというと、たぶん無理だろう。子どもは危険を察知する判断力もまだ発達していないので、そもそもブレーキをかけるタイミングも遅れがちだ。
キックバイクに慣れた子は注意!
最近はペダルの付いてない「キックバイク」に乗ってから自転車に移る子どもが多いが、息子もその一人。彦坂さんによると、キックバイクに慣れている子どもには、ブレーキを使わず足を地面につけて止まろうとするくせが見られる。足だけではしっかり止まれないし、ペダルに足が引っ掛かってけがをする恐れもある。「キックバイクはバランス感覚をつかむのにはいいが、自転車とは全く別のもの。早い段階でブレーキを使って止まることを教えましょう」
そのためには、親も意識を変えなくてはならない。「子どもが自転車に乗れたら、多くの親は『乗れた、乗れた』と喜ぶ。でも『止まれた、止まれた』とほめることはありません」。わが身を振り返ると、息子がふらつきながらも初めて自転車に乗れたときはスマートフォンで記念の動画を撮影して祝ったが、止まれたときのことは覚えていない。うまく止まれたときにしっかりとほめてあげれば、子どももその大切さを理解するだろう。
ふらつかずに真っすぐ走るには?
もう一つ大切なのは、ふらつかずに真っすぐに走ることだ。ハンドルを握る手がふらふらしたり、ペダルをこぐ力が弱かったりするためだが、サドルの位置が合っていないためということもある。「サドルが低すぎると、ペダルをこぐときにひざが上がりすぎて、力が入りません」。目安としては、自転車にまたがって両脚を伸ばしたとき、かかとが地面から浮く程度。こうすると、ペダルをこぐとき、ひざが水平よりもやや下を向くので走りやすい。
真っすぐ走り、きちんと止まるための練習法も聞いた。まず、自転車に乗っても大丈夫な公園や広場などに出掛け、足で地面に線を引いて幅30センチのコースをつくる。子どもをコースから外れないように走らせ、親が「止まって」と合図をしてブレーキをかけさせる。ブレーキは左右両方をしっかりと握り、ピタッと停止できるように教えよう。子どもの手でもうまく握れるように、自転車店でブレーキを調整してもらうといい。慣れてきたら幅を徐々に狭めて練習すれば、さらに上達できる。
自転車に乗る息子の様子をあらためて見てみると、ひざが上がり、こぎづらそうにしているのに気づいた。サドルを上げて調整してみると、ひざがスムーズに回るようになり、すいすいと走りだした。本人は「スピードアップした」と満足そう。調子に乗って速度を出し過ぎて、けがをしなければいいのだが。
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