「うちにはどうして赤ちゃんが来ないの」と聞かれたら?〈性教育10の悩みに答えます①〉

 東京すくすくは、開設3周年を記念して、気になるテーマを楽しく学べるオンライン講座を企画しました。第1弾は「性教育」です。講座〈教えて!サッコ先生 性教育10の悩みに答えます〉で取り上げた質問を、記事でもテーマごとに紹介します。こちらは、比較的、年齢が離れたきょうだいがいるお母さんからの質問です。

質問1.「うちにはどうして赤ちゃんが来ないの?」と聞かれて困った

 上の子から「どうしてうちには赤ちゃん来ないの?」と聞かれて、家族計画を話すわけにもいかず、「どうしてだろうね~」と言葉を濁してしまったそうです。こんな時、どう答えるのがよかったのでしょうか。

「子どもを何人持ちたいか」は家族で相談

サッコ先生 まず、「どうやって赤ちゃんができるの?」という質問を、そのお子さんがもうすでにしてるかどうかによっても変わってくるかもしれませんね。ただ、「家族で子どもを何人持ちたいかというのは相談して決めるんだよ」ということは伝えていいと思います。「たまたまコウノトリが運んでくるわけではなくて、家族の中で何人子どもを持ちたいか決めることができるんだよ。でも、時々、予定通りじゃなくなることもあるから、そのときには家族みんなで相談して、どうするか対策を練るんだよ」と。

 世界では1994年から、「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」(Sexual and Reproductive Health and Rights=SRHR、日本語では「性と生殖に関する健康と権利」)と言って、「女性が子どもを持ちたいか、持ちたくないか」「何歳の時に何人の子どもを持ちたいか」、一人ひとりが自分の望みをかなえられる、それが人口政策なんだ、という考え方に変わってきています。子どもには最初にそのことから話してもいいですね。

産婦人科医「サッコ先生」こと高橋幸子さん

 ただ、予定通りにいかないことは、人生の中にたくさんあります。「望んだ人数の子どもを持てないこともあるし、思ったよりも妊娠が降ってくることもある。その時にどうするかは、家族で相談して決めることなんだよ」ということも伝えていい。

すぐでなくてもOK「必ず答えたいから…」

すくすく たしかに、この質問をされた時に、まだ「どうやって赤ちゃんができるの?」ということを伝えていなかった場合は、それを伝えるチャンスかもしれないですね。

サッコ先生 そこからですよね。「赤ちゃんどうやってできる?」は、早いお子さんでは2~3歳から聞いてくるフレーズだと言われています。ですので、「お子さんが小さいうちから、それを聞かれたらどう答えるかっていう準備はしておいた方がいいんですよ」と親御さんにはお伝えしているつもりですが、なかなか準備ができていないことも多いようです。でも、まだ準備のできていないタイミングで質問されたときは、もうそのときがチャンス。「とてもいい質問してくれたね。必ずあなたに答えたいと思ってるから、ちょっと待っててね」と言って、適切な本を準備しましょう。

 例えば、「性の絵本 みんながもってる たからものってなーんだ?」(たきれい著・高橋幸子監修、KADOKAWA)。「赤ちゃんがどうやってできるか」「体や心を守るにはどうしたらいいか」を紹介している本もありますので、こうした本を一緒に読んで伝えるところから始めるのもおすすめです。

年齢が小さいうちに、正しく科学的に

すくすく 子どもの「赤ちゃんどうしてできるの?」に対して、先生がいつも講演で伝えている内容を教えてください。

サッコ先生 はい。

 男性の体の中に赤ちゃんのもとが半分あります。女性の体の中にも赤ちゃんのもとが半分あります。男性が持っている赤ちゃんのもとを、男性のペニスを使って女性の膣の中に届けてあげる。これを「性交」と言うんだよ。いろんな動物が子孫を残すための行動のことを「交尾」と言うけれども、人間にだけはこの「交尾」という言葉を使わない。「性交」という特別な言葉を使う。

 「性」という字は、心という意味を表す「りっしんべん」に「生きる」という字で表すけれども、人間にとって性交という行動は、ただ単に子孫を残すための行為だけではなく、心と心の触れ合いのその先に、お互いをもっと深く知り合いたい、そんなときにもこの性交という行動を取るよ。そしてそこには赤ちゃんができるっていう責任が伴うんだよ。

 …とサラッと科学的に伝えてあげると、子どもたちは「ふ~ん、分かった」でおしまい。次の遊びに行っちゃう。年齢が小さければ小さいほど、エロいとかキモいとかいう感情がなく、ただ単に「分かった」でおしまい。だから、なるべく早いうちにそこを正しく科学的に伝えるチャンスがあると、体と心を守るという点でもいいと思います。

オンライン講座〈教えて!サッコ先生 性教育10の悩みに答えます〉収録の様子

高橋幸子(たかはし・さちこ)さん

 「趣味・性教育、特技・性教育、仕事・性教育」の産婦人科医。愛称は「サッコ先生」。埼玉医科大で医師として思春期外来などで診察に当たるかたわら、全国各地の学校などで年間120回以上性教育の講座を行う。家庭でできる性教育も支援しようと、サイトの監修や本の出版もし、多角的に活動する。著書に『サッコ先生と!からだこころ研究所 小学生と考える「性ってなに?」』(リトルモア)。