今年で4回目「ふたごキャラバン」 多胎育児を知ってもらうことで、より子育てに優しい社会へ

小野里美保

トークショーの中でアニメーションアーティストの南家さんの作品、短編アニメーション「Good Night」の上映も行いました

双子・多胎児家庭の交流イベント「ふたごキャラバン」(多胎育児支援団体「SwingRing(すいりん)~ふたご応援プロジェクト~」主催)が11月2日、東京都立川市のサンサンロードで開かれました。多胎育児のリアルを地域の方にも知ってもらうこと、そして孤立しがちな多胎児家庭同士の横のつながりを作ることを目的としています。

雨の中、多くの多胎児家庭が来場

東京すくすく(東京新聞)も共催で取り組み、双子育児のリアルを伝えてきた「MIRACLE TWINS」の作者でアニメーションアーティストの南家真紀子さんのトークショーを企画しました。

【関連記事】多胎育児は過酷で、SOSすら出せないことも… 「MIRACLE TWINS」作者・南家真紀子さんが「ふたごキャラバン」でトークショー

この日は朝からあいにくの雨。多胎児家庭にとっては、雨の日のおでかけはかなりハードルが高く心配していましたが、大きな双子ベビーカーにレインカバーをかけて参加してくれた方や、おそろいのレインコートの小さなお子さんを連れてきてくれた方の姿もありました。

おそろいのレインコートがかわいい

屋外会場には、双子・多胎児を育てているファミリーに役立つブースが並びました。各ブースをまわるスタンプラリーも好評で、小雨が降る中、多胎児ファミリーを中心に300人ほどが来場しました。

後部座席が2つある「ふたごじてんしゃ」の試乗会は、以前から試してみたかったという多胎児家庭で予約枠がいっぱいに。

1歳半のお子さんを連れて試乗会に申し込んだご夫婦は、「3月に双子が生まれる予定なんですが、ふたごじてんしゃは(子ども)3人は乗せられないと聞きました。保育園の送り迎えをどうしたらよいか…」と困った様子でした。

自身も双子の親で「ふたごじてんしゃ」発案者の中原美智子さんは、「『子ども3人を乗せられないか?』というお問い合わせはよくあります。子ども3人を乗せる4人乗りは、道路交通法で禁止されていて、3輪の『ふたごじてんしゃ』もダメなんです。今後、署名活動なども考えています」と話します。

「ふたごじてんしゃ」の試乗会

毎年、すぐに予約がいっぱいになるファミリー写真撮影会。双子を連れて写真館へ連れて行くのは大変なので、屋外でプロカメラマンが家族写真を撮ってくれます。傘を使った雨の日ならではの演出もあり、雨模様の中でも無事に開催することができました。

おそろいの子ども服を集めたフリーマーケットも人気。2人分同時にサイズアウトしてしまうのは双子あるあるで、「MIRACLE TWINS」にも描かれています。

【関連記事】双子家庭が悩むサイズアウト あまり使ってないのに2つ同時に!〈南家真紀子 MIRACLE TWINS〉

多胎育児の先輩と話せるピアサポート体験は関東多胎ネット(通称:カンタ)のブースです。

「ふたごキャラバン」発起人のSwingRing前代表・中川美織さんは、関東多胎ネットの理事も務めています。自身も双子を含む3児の母で、「多胎児を育てる仲間との出会いが希望になった。決して1人ではないと伝えていきたい」と、同じ境遇である双子・三つ子ファミリーのみなさんとともに「ふたごキャラバン」を開催しています。

イベントを運営するのは多胎児の親だけではありません。成長して小学生・中学生となった当事者の双子の子どもたちが「こども縁日」のお店番に。

何を売るのかも子どもたちで考えました

立川野菜の直売も人気

新企画「防災ワークショップ」と「トークショー」が大好評

南家真紀子さん(右)と今川前編集長

今年は、新たな試みとして損保ジャパン西東京支店法人支社の協力で室内会場も設けました。午前中は、損保ジャパン主催の「防災ワークショップ」、午後は東京すくすくが企画したトークショーでにぎわいました。

【関連記事】多胎育児は過酷で、SOSすら出せないことも… 「MIRACLE TWINS」作者・南家真紀子さんが「ふたごキャラバン」でトークショー

トークショーの司会をつとめたSwingRingの中川さんは「このイベントを通じて、マイノリティーで孤立しがちな多胎児家庭のつながりをつくるだけでなく、多胎児のリアルを地域や地元企業の方に知っていただき、社会全体が多様化する子育てに手を差し伸べるきっかけになれば」と思いを語りました。

地域の人々が安心して毎日を暮らせるように

損保ジャパン西東京支店法人支社長の中林佑介さんに、「ふたごキャラバン」に一緒に取り組んでいただいた思いを聞きました。

ふたごキャラバンのお話を受けた際に、「多胎育児のリアルを知ってもらい、もっと生活しやすい地域をつくっていきたい」との思いに触れました。私たちは安心・安全・健康に資するサービスを提供し続けることで、西東京の幸せを支える存在であり続けたいと考えています。「地域の方々が安心して、笑顔で過ごせる毎日を創ること」のお手伝いができればと考え、一緒に取り組ませていただきました。

―防災ワークショップも親子連れに大変好評でしたね。

ワークショップを担当した損保ジャパンの稲葉友也さんも双子の父

「防災ジャパンダ」という取り組みを全国で実施しています。将来を担う子どもたちや保護者を対象に、災害から身を守るための知識や安全な行動について身につけてもらうことが目的です。今回、小さいお子さんも楽しく学べるように、紙芝居と新聞工作を企画しました。多胎育児家庭にとっても防災への理解、事前準備は大切です。防災の大切さを学んでいただくことで、結果として「地域の方々が安心して、笑顔で過ごせる毎日を創ること」のお手伝いにつながると考えています。

損保ジャパン西東京支店法人支社 中林佑介支社長

サービス精神旺盛なジャパンダは、双子の子どもたちからも大人気! ジャパンダの活躍中、中林支社長の姿が見えなかったのは気のせいでしょうか…。

損保ジャパン防災キャラクター「ジャパンダ」

多様化する子育てにも寄り添いを

双子など多胎児を育てる親たちが交流するだけでなく、地域の人たちや企業も巻き込んだイベントとなりました。イベントで発信していることは、多胎児家庭だけの問題ではありません。多様化する子育てに寄り添うことが、社会全体をよくすることにつながると考えています。

「SwingRing」は今後も「ふたごキャラバン」を続けていく予定です。今回は参加できなかった双子・多胎児家庭のみなさん、地域の方々、関心のある方すべての方に、次回お会いできることを楽しみにしています。

主催: SwingRing~ふたご応援プロジェクト~

共催:東京すくすく(東京新聞)

協賛:株式会社シーズプレイス/損害保険ジャパン株式会社/ファーマーズセンター みのーれ立川/浅野撚糸/ベストアメニティ/キッチン大友/IKEA立川

後援:立川市/立川市教育委員会/社会福祉法人立川市社会福祉協議会/株式会社ふたごじてんしゃ/NPO法人つなげる/一般社団法人 関東多胎ネット/子育て支援団体 ワッカチッタ/子育てサポートコミュニティ キラリっ子ファミリーカフェ/NPO法人ダイバーシティコミュ/みらいのたね保育園