ナチス強制収容所で子どもが描いた絵 「親子で見てほしい」約80点を展示 川越市立美術館
中里宏 (2019年7月24日付 東京新聞朝刊)
第二次大戦中、ナチス・ドイツのユダヤ人強制収容所で子どもたちが描いた絵画約80点を集めた「テレジン収容所の幼い画家たち展」が23日、埼玉県川越市立美術館の市民ギャラリーで始まった。テレジンの生存者の取材を続け、各地での展示に関わっているノンフィクション作家野村路子さん(82)の地元・川越で初の本格的な展示。地域の女性たちでつくる実行委員会の主催で「特に小中学生に親子で見てほしい」と呼び掛けている。28日まで。
遊園地の思い出、飛び回るチョウ
展示作品は、チェコ北部のテレジン収容所で親と離されて収容された10~15歳の子どもたちが描いた絵画。過酷な労働と粗末な食事で笑顔を失った姿を見た女性画家フリードル・ディッカーが、希望を持たせようと教えた。
内容は、楽しかった遊園地の思い出や、自由に飛び回るチョウに思いを託したものなど。子どもたちのほとんどは、収容所で命を落とした。
野村さんは1991年から、全国200カ所以上で展示を続けている。多くの関連本を出版していて、小学6年の国語教科書(学校図書)には作品「フリードルとテレジンの小さな画家たち」が掲載されている。
子どもたちの詩を基にした演奏も
毎年、希望者10数人でテレジンやアウシュビッツを巡る旅も主宰。今回の展示は、旅に参加した川越市の女性たちが実行委(陸=くが=登美江委員長)をつくり、子どもたちが訪れやすい夏休み中の開催を企画した。
期間中は野村さんが会場で説明をするほか、27日には午後1時半から、テレジンの子どもたちが残した詩を基に作られた歌約10曲を演奏するミニコンサート「テレジン もう蝶々(ちょうちょう)はいない」が、美術館アートホールで開かれる。
問い合わせは実行委事務局=電話090(7828)4412=へ。