息子も、家族もいてくれる。幸せに違いない。でも…〈清水健さんの子育て日記〉53
息子の成長と、自分の活動への迷い
いよいよ夏休み。息子はうれしそうに日にちを数えていました。楽しみだよな、僕もそうだった。親となり、さて、どうしようか。
「宿題は!」。言いたくないけど、今年もきっと毎日、言っている僕がいると思う。算数の桁数も多くなってきて、丸つけにはメガネが必須になり、自分の年も感じるけど、2023年、今年だけの夏。
最近、今、自分がやらせてもらっている活動について迷うことがある。息子の成長とともに、その迷いは大きくなっている気もする。僕自身は前に進めているのか。
先日、高校生に向けての講演会があり、生徒たちの感想を先生が送ってきてくれました。みんなが、それぞれに感じたことを素直に言葉にしてくれていた。
同世代のお父さんの前で話す機会もあった。おそらく、日々忙しいお父さんたちが「想像したことがない」「想像したくない」ことを僕は話したと思う。感想では「家族」という言葉を多くもらった。
また別の講演会では、主宰するオンラインサロンの奥さまを亡くされたシングルファーザー仲間と、対談形式で当時の闘病生活、今の生活を語った。もしかしたら、思い出したくないことを思い出させたかもしれない。対談後、「清水さんはいつもこんなことを話していてしんどくないですか?」。本音だと思う。
しんどい。つらいこと、後悔していることを思い出して話し、自分をいじめてどうするのかと思うこともある。でも、「久しぶりに当時を思い出せてよかったです」とも伝えてくれた。
あえて話すことではないけれど、僕には話すことができる場所がある。
「今、幸せですか?」そう問われて
ある高校生の感想の一部です。「僕は、今回の講演の感想を、うまく言葉にすることができません。言葉には正解がないから、何を言っても清水さんの思いに答えられないように感じます。でも、自然と、大切な人を思い浮かべていた僕がいました」。当たり前の毎日を特別な毎日に感じてもらえていたらうれしい。
質疑応答で「今、幸せですか?」と聞かれたことがある。息子もいてくれる、家族もいてくれる。幸せに違いない。でも、一瞬、立ち止まった僕がいました。
息子に講演会後に配布する資料の整理を頼んだことがある。何枚も何枚もふたりで一緒に。「パパの話、こんなに多くの人が聞くの?」。もう少し頑張ってみよう。幸せを伝えられるように。
清水健(しみず・けん)
フリーアナウンサー。8歳の長男誕生後に妻を亡くし、シングルファーザーに。
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