都会でも、ご近所親子みんながつながる「恵比寿じもと食堂」
「私も近所のおばちゃんになる」
「食堂」を開くのは、企業や団体に商標や著作権の取り扱いを指導する知的財産管理技能士として個人事務所を運営する末岡真理子さん(33)。専門学校進学を機に福島県から上京して以来、ずっと恵比寿と周辺で暮らしてきた。
現在6歳の長女が幼いころ、自営業の夫(44)と2人で、インターネットの情報を頼りに育児をしていた。何度も「近くのおじいちゃん、おばあちゃんの知恵がほしい」と思ったという。
昨年10月、子どもの貧困対策で注目される子ども食堂の活動を雑誌で知り、近隣の人々が集い、交流する場をつくろうと決意を固めた。「私も近所のおばちゃんになる」
息子の友達が気になって…一軒家を提供
ウェブマガジン「恵比寿新聞」の編集長高橋賢次さん(40)が主催するイベントに押しかけ、思いを伝えると、高橋さんが事務所として使う一軒家の和室と台所を提供してくれることになった。
高橋さんも小学生の息子の友達が気になっていた。「両親の帰宅が遅く、夕食はコンビニ弁当のことも。『うちに来いよ』と誘うんだけど」。にぎやかに食卓を囲む場をオープンにすれば入りやすいのではと期待する。
「顔の見える近所付き合いの良さを再認識」
食堂の名前とロゴ(末岡さん提供)は、恵比寿に住むコピーライターとアートディレクターが考えた。地元の数軒の飲食店が調理を手伝う。フェイスブックで活動を知った新潟県内の農家からは野菜が届く。
13日にはプレオープンイベントを開いた。幼児から小学3年生までの子がいる6組の親子連れら27人が、だし巻き卵やハンバーグを作り、ちゃぶ台を囲んだ。初対面の子たちも紙芝居を読み合い、すぐにうち解けた。「顔の見える近所付き合いの良さを再認識した」と末岡さん。仕事や趣味で身に付けた知識、技術を大人が子どもに伝える場にもしたいという。
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【2018年9月 追記】恵比寿じもと食堂は、第2、4水曜日の午後4時~7時にオープン。1食500円。問い合わせは恵比寿じもと食堂のfacebookページから。(東京すくすく編集チーム)